能登半島地震 2度目の被災で「もう輪島には住めない」避難生活者の本音

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中学生は集団避難

 1月13日からは、2日間の大学入学共通テストが始まった。幸い、県立輪島高校の生徒に死者はいなかった。

大坪克哉教頭は「3年生は103人。家が潰れて勉強する場がないので、学校に来るように呼び掛けた。スペースを作って、授業も少しした。12日には、受験生がバスに乗って試験会場がある金沢市へ向かいました。試験が終わった日も、金沢に泊まらせます」と話す。

 さらに、通常の授業が再開する目処が立たない中、1月17日には、輪島市の中学生が「集団避難」した。3つの中学の1年生から3年生までの生徒258人が親元を離れる不安を胸にバスに乗り込み、100キロ離れた県南部の白山市の「県立白山青年の家」など2か所の受け入れ先に向かった。これから2か月、集団生活をしながら勉強に励む。石川県県教委によれば集団避難は生徒と教員だけで行うが、保護者が避難先を訪れるのは自由だという。

 1月21日からは、珠洲市102人と能登町42人の中学生も集団避難した。2000年の三宅島の噴火で行われた例があるが、保護者が現地に残り、中学生だけが避難するのは異例である。一方では「祖父母などの面倒を見たい」などとして輪島市に残る生徒もおり、オンライン授業なども行うという。

 石川県は非常に教育熱心な県だと言われる。金沢市出身のある年配女性は「石川はものすごく教育熱心で高校の時、修学旅行もなかったですよ」と話す。寂しいだろうが、いつの日か「集団避難は結構楽しかったよ」と振り返ってくれる日が来てほしい。

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「瓦礫の中の群像―阪神大震災 故郷を駆けた記者と被災者の声」(東京経済)、「サハリンに残されて」(三一書房)、「警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件」(ワック)、「検察に、殺される」(ベスト新書)、「ルポ 原発難民」(潮出版社)、「アスベスト禍」(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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