「牛乳はアンチエイジング飲料」「自家製お酢ドリンクが効果的」 意外に大事な「飲み物健康術」
食事にはない長所
飲み物の重要性を理解するために、もうひとつの事実に目を向けてみましょう。
大きな持病を抱えたりしていなければ、注意深くやれば1週間断食しても命に関わることはまずありません。一方、「断水」はせいぜい2、3日が限界です。いや、1日全く何も飲まないというだけでも極めて困難なことだと思います。つまり、人間は多少食べなくても生きていけるものの、飲まなければ短期間で命の危険につながるわけです。
その大事な飲料には、食事にはない長所があります。
まずは食べ物に比べて圧倒的に手軽に摂取できる点です。仕事をしながらでも、あるいは歩きながらでも飲み物を飲むことはできますが、食事はそうはいきません。枕元にペットボトルを置いておけば、就寝時にも水分摂取はでき、飲み物は24時間摂取可能といえます。摂取回数も、食事は1日3、4回が普通は限界ですが、飲料はちょこちょこと何回でも飲むことができるのも強みです。
そして飲料には即効性があります。食べ物は、胃腸で消化吸収されるまで数十分から数時間かかりますが、飲み物の場合、速ければ数分で吸収されます。つまり、「短期勝負」においては、飲み物は食べ物に勝っているのです。こうした点でもやはり、されど飲み物といえるわけです。
口渇感のセンサーが…
このように、健康を維持・促進するにあたり重要であり、利便性も兼ね備えた飲料の世界は、同時にとても豊かでもあります。
まずは、ミネラルウォーター、炭酸飲料、コーヒー飲料、豆乳飲料、スポーツ飲料、お酒、栄養ドリンク……と種類が豊富です。また、飲む目的もバラエティーに富んでいて、のどの渇きを潤すだけでなく、栄養補給に熱中症予防と、さまざまな用途で役立ちます。こんなに多様性を持った飲み物を、何も気にせず「ただ飲む」のはいかにも、もったいない。
1日1リットル以上の水分補給が必要と述べましたが、言い換えれば1日1リットル以上の「H2O」の摂取が必要ということになります。どうせ1リットル以上、水分を摂取しなければならないのであれば、その1リットルのH2Oの中に有用な栄養成分が入っていたほうがいいに決まっています。
とりわけ高齢者にとっての飲料の重要性は増します。体に占める水分の割合約60%が、60歳を過ぎる頃になると55%くらいに減ってしまうからです。従って、もともと体液の「分母」が小さい高齢者は、汗や尿で体外に排出される量、すなわち「分子」が若者と同じ1日1リットルであったとしても、水分が失われることによる脱水症状などの健康ダメージは大きくなるのです。
さらに、お年寄りになると口渇感のセンサーが鈍くなり、「のどが渇いたな」と感じた時にはすでに手遅れということもありますので、より意識し、先回りして水分を摂取する必要があるのです。
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