「正直不動産2」は前作を超える仕上がり…民放では観られない“大人向けドラマ”だと思う根拠

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名優・草刈正雄の存在感

 山下は渋みが増して、いい俳優になった。明るい脳天気な男も冷たい悪党も出来る。なにより良いのは哀愁を帯びているところ。どこか悲しげな俳優を日本人は好む。高倉健さん、石原裕次郎さん、渥美清さん、勝新太郎さんと大スターと呼ばれる人はほとんどがそうだった。山下は2020年に旧ジャニーズ事務所を独立した後、辛酸を舐めたが、それも結果的には良い経験になったのではないか。

 4月からのフジテレビ「ブルーモーメント」で、約5年ぶりに民放作品に主演する。2021年のTBS「ドラゴン桜」では声の出演しか出来なかったから、隔世の感だ。芸能プロダクションの面子やテレビ局の都合によって、俳優の活動が制限されてしまうようなことは二度とあってはならない。それは視聴者側の不利益になるのだから。

 草刈の出番は少ないが、作品全体を締めている。デビューから50年。20代のころは典型的なモデル出身の俳優で、セリフは少なく、演出陣から信用されていないようだったが、今はやさしさと人生の重さを感じさせる男を演じられる名優だ。

 登坂が十影に向かって口にした「君もいつかは分かる」という言葉は観る側の胸を突いた。この一言に説得力を持たせられる俳優はそういない。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。放送批評懇談会出版編集委員。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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