メジャー移籍を急ぎ過ぎて契約未更改のロッテ・佐々木朗希 関係者からは「彼の背後にいる人たちの思惑がよく分からない」
ポスティング移籍までかかる時間
もっとも、球団は契約更改を早く行いたい。越年になったのは、年俸の額で折り合いがつかなかったのではなく、今シーズンオフにでもポスティングでのメジャー移籍を球団が容認するか否かで調整が難航しているためとされる。
「球団は毎年シーズン後半に、各選手と契約更改のすり合わせをしますが、昨年のその時点で、佐々木から米球界挑戦への具体的な時期の話は出ていませんでした。更改の席で対峙した幹部職員も、うかつなことは言えません。とにかく、この部分は慎重になっています」(関係者)
そもそも、佐々木の米球界挑戦に“混乱”が生じた理由だが、千葉ロッテ側が「佐々木が23年オフに、MLB挑戦を言い出すとは思わなかった」ことに尽きる。
「このところ、ポスティングシステムで米球界行きを目指すNPB選手が多くなりました。現行ルールでは海外フリーエージェント権を取得するのに9年を要するので、選手は年齢的ピークを逃してしまいます。球団側も海外FA権でMLBに移籍されても金銭的・人的補償が得られないので、『だったら、譲渡金の得られるポスティングシステムで送り出したほうが良い』と考えるようになりました」(在京球団スタッフ)
ソフトバンクのように「ポスティングシステムは認めない」と決めている球団もある。しかし、見返りのない海外FAではなく、選手がポスティング移籍を希望した場合、球団は選手との信頼関係を構築し、よりよい移籍先を探す。そのためには、選手との十分な話し合いが必要になるだけでなく、手続きなど相当な時間を要することになる。前出の在京球団スタッフによれば、
「ポスティングの意思表明から移籍まで2、3年ほどかかるのが一般的」
だという。1月4日の仕事始めで、ロッテの高坂俊介球団社長(41)は、
「活躍した選手がメジャーに挑戦していくことについては、球団として後押ししていきたい」
と述べているが、吉井理人監督(58)は佐々木のメジャー移籍に関し、自身のメジャー経験も踏まえたうえで、チャンスがあるなら行った方がいいと理解を示しつつも、
「自分だったら球団に対して、もうちょっと恩返ししてからかなと思ったりもする」
と語っている。こうした流れを見てみると、今回、佐々木がいきなりMLB挑戦希望を表明したのは、佐々木サイドが球界の慣例を無視したとの声が上がる。
「佐々木が米球界挑戦の意思を持っていることは以前から伝えられてきました。でも、今回のポスティング移籍の申請も、佐々木自身から出た話なのか、彼の相談役と言われているIT関係者が入れ知恵したものなのか…」(スポーツ紙記者)
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