イラクを甘く見ていた日本の敗戦は必然 “戦犯”はGK鈴木だけでなく、29歳MFとJFA技術委員会
鈴木は交代すべき
いずれの失点も技術的な問題以前に、キャッチングかパンチングか、あるいはフィスティングかという選択するプレーの判断が遅れたことに原因があるのではないか。鈴木はGKとしてフィジカル的に申し分ないし、将来性も豊かだろう。技術も練習や試合で向上は可能だ。しかし、瞬時の判断力や視野の広さは経験を積めば高めることもできるが、生まれ持ってのセンスもある。
実際、後半9分にはタテパスに右MFユセフ・アミンが抜け出し独走しかけたものの、GK鈴木は飛び出すタイミングが遅れて「あわや」というシーンを作られた。右SB菅原由勢のリカバーもあり失点を免れたが、もっと早くペナルティーエリアを飛び出してクリアしていれば何のことはないシーンだった。
国際舞台の経験不足と失点により判断力が鈍っている可能性もあるが、このままGKに鈴木を起用するのは本人にとってもチームにとっても好影響を及ぼすとは思えない。今大会は「育成」より「勝負」にこだわるべき。インドネシア戦ではGKに前川黛也の起用を期待したい。
そして、ここからはまったくの私見である。
技術委員会のミス?
今大会には鈴木彩艶だけでなく野澤大志ブランドンという、ともに21歳の若いGKを招集した。鈴木は浦和レッズで正ポジションをつかめず、昨年8月にベルギーのシント=トロイデンへ移籍して出場機会をつかんだ。野澤もFC東京では出場機会に恵まれず、岩手でのレンタルを経て昨シーズンにFC東京に復帰し、徐々に起用されるようになった。
2人に共通しているのは、リーグ戦の出場経験が圧倒的に不足していることである。にもかかわらず、2人はU-23日本代表のレギュラー候補でもある。U-23は4月にここドーハでパリ五輪の最終予選を迎える。グループリーグの相手は、韓国、UAE、中国と強敵揃いだ。
そこでJFA(日本サッカー協会)の技術委員会は、彼らに経験を積ませるため今大会のメンバーに招集したのではないだろうか。今大会で日本は、優勝の最有力候補に挙げられている。5度目の優勝を目指しつつ、GK2人に加え五輪代表のエースストライカー候補の細谷真大にも出場機会を与えて国際舞台の経験を積ませる。
もしもそうだとしたら、プランとしては悪くないものの「サッカーはそんなに甘いものではない」という現実を突きつけられたことになる。若手GKを呼ぶなら鈴木1人にして、もう1人はベテランGK、昨シーズンのパフォーマンスなら西川周作を呼んでおくべきだった。
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