イラクを甘く見ていた日本の敗戦は必然 “戦犯”はGK鈴木だけでなく、29歳MFとJFA技術委員会

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 カタールで開催されているアジアカップ2023で、日本代表はグループステージ第2節となるイラクに1-2と僅差のスコアながら完敗を喫した。これで1勝1敗となり、グループDの2位に後退。24日のインドネシア戦に勝つか引分ければ決勝トーナメントに進めるが、イラクに敗れたことで2位での通過が濃厚になった。

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 まさに完敗だった。イラクが立ち上がりから強度の高い攻守で日本を圧倒することは予想できた。このため日本は1トップに前線で走り回れるFW浅野拓磨を起用したが、浅野一人で何とかできるような状況ではなかった。

 そして前半5分、あっさりと失点した。MF南野拓実は、攻守におけるデュエルと守備に難点がある。イラクのような相手には0トップかトップ下のポジションが適正だと思うが、森保一監督は左MFに起用した。たぶんベトナム戦で2ゴールを決めてノッていると判断したのだろうが、起用したポジションが間違っていた。

 左サイドでは守備で後手に回り、その結果として左ボランチ守田英正や左SB伊藤洋輝の負担が増える。その不安は的中し、ボールを保持した南野からサポートに来たボランチ遠藤航へのパスが、コース、タイミングともズレて、イラクのMFアリ・ジャシムへのプレゼントボールになる。ドリブルからジャシムの放ったロングシュートはGK鈴木彩艶が弾いたものの、そのスローインから日本は失点した。

 イラクはスローインを受けたCBサード・ナティク・ナジの右クロスを逆サイドでFWアイマン・フサインが頭で落とし、右SBアハメド・ヤヒヤ、MFアリ・ジャシムとつないでクロス。これはGK鈴木がパンチングでコースを変えたものの、その先にはアイマン・フサインが走り込んでいて、難なくヘディングシュートを決めた。

GK鈴木の失敗

 イラクの攻撃、スローインを受けてのクロスとヘッドでの落としから右サイドでの展開は、素早かったとはいえ、日本の対応が後手に回った。受け身になってしまったことは否めない。

 サッカーに「もし」は禁物だが、GK鈴木がロングシュートを横へ逃げるパンチングではなく両拳によるフィスティングで遠くに飛ばしていたら、あるいは、アリ・ジャシムのクロスを掌でコースを変えるのではなくフィスティングで弾いていたら、失点しなかったかもしれない。

 GK鈴木はロングシュートに対し、「キャッチングしようとしたがブレ球のためパンチングに切り替えた」と言ったそうだ。その判断は間違っていないだろう(できればキャッチしてイラクの攻撃をストップして欲しかった)。しかし、シュートはパワーがあっただけに、最初からフィスティングを選択していれば失点を防げたかもしれない。

 同じようなことはベトナム戦の2点目でも感じた。ヘッドでの落としに最初は両手の掌を下にしてキャッチしようとしたが、相手が詰めてきたためパンチングに切り替えたものの、掌を下にしてのパンチングは遠くに飛ばすことができず、簡単に押し込まれた。

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