亡くなった元カノの“呪い”に苦しめられる45歳男性 妻子とどうしても同居できない心境を告白

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妻ときちんと向き合わず

 夏帆さんが休みの日曜日は、朝から3人で近くの公園に出かけたり、裕孝さんが食事を作ったりする。とにかく3人でいることが楽しくてたまらない。だがその一方で、最近になって、彼は過去を夏帆さんに隠していることがつらくなってきている。

「こんな気持ちになるなんて、思ってもいなかった。考えてみれば、親と気持ちが行き交っていなかったせいか僕は誰かに甘えたこともないし、美緒とのことがあってからは、無意識のうちに人と濃い関係を持たないようにしてきた。でも娘を通じて夏帆とつながって、もっとわかりあいたい、夏帆をもっと知りたいと思う。ただ、それを阻むのは僕だけ幸せになってはいけない、今も美緒は僕を呪っているという罪悪感と恐怖感。これを夏帆に話したとき、夏帆の反応がどうかというより自分の心の変化が怖い。いつか話したほうがいいのだろうかという思いから、今は話したいと気持ちが変化しています。でも話せるのか……」

 ゆっくり時間をかけて、彼は彼なりに心を整理してきたのではないだろうか。もう囚われる必要はないと他人が言っても無理な話ではあるが、自分の気持ちが変化したことを実感できるなら、もう大丈夫なのではないか。

彼は不倫しているわけではない。ただ、目の前の妻ときちんと向き合わずに過去の女性に心を乗っ取られているのは妻に対して不誠実ではないのか。もちろん、そんなことは軽々しく言えなかったが、彼が最後の障壁を突破できるところがイメージできる。それだけは伝えた。

前編【「あなたの子を妊娠した」と突然、会社に押しかけた元カノ… 45歳男性が妻に絶対言えない“ストーカー被害”の影響とは】からのつづき

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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