ラファエル氏が「千葉県内に引っ越し」は“ネタ”と告白 「広告収入が10分の1」になっても都内のタワマンに事務所を構えられる理由

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先行者利益を享受

 当時のYouTubeは「ブルーオーシャン(競争相手がいない未開拓市場)」だった。1カ月や3カ月の活動で多額の広告収入を得ることも珍しくなく、「半年やって駄目なら向いていない」とさえ言われていた。

「僕はブレイクするのに1年半かかったので、遅咲きのほうです。ただ、当時は動画をアップすると、翌日から収益が得られました。副業の動機が『フェラーリが買える収入や社会的地位を得たかった』というのは本当ですが、『ワクワクするものに出会いたい』という気持ちもありました。YouTuberになってみると、次第に収入が極端な右肩上がりを描いていきます。これだけで充分に刺激的でした。会社を辞める時点で、月に400万円から500万円の収入をYouTubeで得ていました」

 なぜ、そこまでの成功を収めることができたのか、ラファエル氏は「僕らには先行者利益があったことは間違いないです」と言う。

「まさに僕は、ブルーオーシャンの時期に飛び込むことができました。そもそもiPhoneがなければYouTubeも人気アプリにはならなかったと言われています。タイミングよくiPhoneのブームが起きて、YouTubeも注目された。そこに僕らがYouTuberとして参加した。僕は営業マンだったからトークには自信がありました。当時はテレビ局を所有したような感覚で、コンプライアンスは緩く、経費ゼロでぱっと撮って、ぱっと出すと報酬がすぐに入る。ほとんど経費が必要ではないため、年商と年収がほぼ同じというのがYouTuberの強みでしたね」

企業案件のインパクト

 成功を収めたラファエル氏は、「YouTuberの社会的地位を上げたい」と考えるようになる。何しろ「職業はYouTuberです」と説明しても、マンションの審査さえ通らないのだ。

「YouTuberの社会的地位を上げるため、仕事で得た“縁”を大切にしました。具体的には“企業案件”です。動画で企業のPRを引き受けることを“企業案件”と呼びますが、昔のYouTuberは『企業案件は引き受けるべきではない』『引き受けるとファンが逃げる』という考えが主流でした。でも、僕は来た依頼は全て引き受けました。それが縁で経営者の方々と知り合い、自分もコンサル業を立ち上げることができました。超大手のIT企業から数百の公式チャンネルを見てくれと依頼されたこともあります。また、これは無償の活動ですが、人気芸能人をYouTuberにするよう動きました。全てはYouTuberの社会的地位を上げるためです」

 まともな企業の公式YouTubeチャンネルが増え、知名度の高い芸能人がYouTuberとしてデビューしていけば、YouTuberのステータスは上がると考えたのだ。当時は市場にも余裕があり、ラファエル氏が他人のため無償で協力しても、それは回り回って自分の再生数が増えるという“利益”に結びついた。まさに「情けは人のためならず」だった。

 ライバルが増えれば“淘汰”されるYouTuberは増える。ラファエル氏は「それでいい」と考えていた。「誰にでも簡単に参加できる世界ではない」という雰囲気が共有されるほど、YouTubeの価値も高くなる。

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