大谷翔平の7億ドル契約で「ぜいたく税」を巡るメジャー球団の思惑 カリフォルニア州も問題視
新たな「大谷ルール」が生まれる
全選手の契約が終わっていないため、ドジャースが納めるぜいたく税の額は算出されていないが、今年度の「納めるか否かの境目」は2億3700万ドル(約343億円)。ドジャースが境目を超えるのは必至だが、大谷の後払いによって、納める額がだいぶ少なくなったようである。
この後払い問題は、カリフォルニア州当局にも波及した。同州の会計監査官が「無制限の後払いは、税の公平な分配を妨げている。税制の不均衡を是正するため、議会に早急な行動を取ることを求める」との声明を発表した。後払いにより、本来納付される州税が減ることを問題視したのである。また、大谷の年俸が後払いされる際、カリフォルニア州から転居すると、同州は9800万ドル(約141億円)の税収を失うという試算もある。
地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」は、「大谷加入でドジャースはマーケティング収入と広告収入で年間5000万ドル(72億円)を得ることができるようだ。彼はドジャースとそのオーナーに究極の経済的な贈り物を与えた。ひとつは契約が完了するまで給与の6億8000万ドル(976億円)の支払いを延期する契約になっていることで、球団は資金を持っていられる。次は、その間にその資金が生み出す利益を得る可能性があり、フランチャイズをMLB最大の巨大金融企業に変える可能性がある」と分析している。
米メディア「ブリーチャーレポート」が、29年までに起こりそうな最悪のシナリオと題して、皮肉交じりに、こう報じていた。
「いずれはそのツケが回ってきて、現在は抜け穴の大々的な悪用にしか感じられないものが、ドジャースが対処すべき難問となる転換点が訪れるだろう。大谷が34歳になると衰え始める可能性がある」
大谷争奪戦に失敗した複数の球団が、後払いルール改定の意見に賛同している以上、ぜいたく税に関する「新たな大谷ルール」が誕生するのも時間の問題だろう。