大谷翔平の7億ドル契約で「ぜいたく税」を巡るメジャー球団の思惑 カリフォルニア州も問題視

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「ぜいたく税」が有名無実化

「ぜいたく税」は、メジャー全30球団の財政的バランスを保つために設けられた。スター選手の争奪戦が加熱すれば、資金が潤沢なニューヨーク、ボストン、ロサンゼルスなどの大都市を本拠地とする一部の球団しか参加できない。それを防ぐため、チーム総年俸が基準値を上回った場合、その超過分に対して、「1年目は20%、2年連続なら30%、3年以上の連続なら50%」をMLB機構に納めなければならないのだ。

 大谷の契約した年俸7億ドルが10年均等だったら、1年7000万ドル(約101億5000万円)。それが分割払いの影響で、200万ドルとカウントされれば、チーム総年俸に大きく影響する。“苦情”が出るのも当然だろう。

「仮に大谷が『1年7000万ドル』を受け取っていたら、ドジャースの23年総年俸の約30%を占めていました」(前出・現地メディア関係者)

 大谷が「97%の6億8000万ドル」を後払いにしたことで、ドジャースは山本由伸の争奪戦を制することもできた。山本は12年3億2500万ドル(約462億円)で契約した。仮に、こちらも12年均等払いだとすれば、1年当たり約2708万ドルずつ(約40億円)。大谷の200万ドルと足しても、ドジャースの23年総年俸の15%ほどに収まる計算だ。大谷から後払いの申し出がなかったら、前年度総年俸の40%以上に相当する。

 今オフ、ドジャースはJ.D.マルティネス(36=FA)といった有名選手との契約を見送ったが、年俸535万ドル(約6億9550万円)の投手、タイラー・グラスノー(30)をトレードで獲得し、米FA市場の注目スラッガーの一人だった外野手のテオスカー・ヘルナンデス(31)と「1年2350万ドル(約34億5900万円)」で契約した。内野手のマックス・マンシー(33)、強打のジェイソン・ヘイワード(34)とも契約を延長しており、その補強費は総額12億2600万ドル(約1776億円)とも言われる。

「ドジャースで長く先発ローテーションを支え、現在FAになっているクレイトン・カーショウ(35)とも残留交渉を続けています。カーショウの昨季年俸は2000万ドル(約26億円)。同額か、それ以上の年俸を提示しているようです」(前出・同)

 こうした強気な大型補強ができるのも、「大谷が総年俸の97%を後払いにしたからだ」というのが米メディアの見方だ。「後払い」に関する新ルールを設けなければ、オフの行き過ぎた補強にブレーキを掛けるために設けられたぜいたく税は、やはり有名無実化してしまう。

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