大谷翔平の7億ドル契約で「ぜいたく税」を巡るメジャー球団の思惑 カリフォルニア州も問題視
大型契約に「やりすぎだ」との声が
メジャーリーグで、新たな「大谷ルール」が誕生しそうだ。球界のみならず、移籍したドジャースのあるカリフォルニア州当局までもが問題視する事態になっているのだ。
「大谷翔平(29)がドジャースと契約した『10年総額7億ドル(約1015億円)』ですが、そのうち97%に相当する6億8000万ドル(約976億円)の支払いを、2032年から43年に繰り延べたことはすでに報じられています。これを“やりすぎではないか”と他球団や、辛口で知られる東海岸の野球メディアが批判し、新しい規定を設けるべきだと言い出しているのです。これにより、新たな『大谷ルール』ができるのではと言われ始めています」(現地メディア関係者)
【写真】オフはNFL観戦。間もなくキャンプインする大谷(ロサンゼルス・ドジャースの公式Instagramより)
そもそも「大谷ルール」とは、22年メジャーリーグ公式戦から採用された、指名打者(以下=DH)と先発投手の兼務を認めるもの。おかげで大谷は降板した後もDHのまま、継続して試合に出られるようになった。
「21年の投手・大谷の成績は23試合に登板し、9勝2敗。『大谷ルール』が採用された22年は28試合に登板し、15勝(9敗)を挙げました。打者タイトルを争いながら、最多勝のタイトル争いにも加わる快挙で、23年シーズンは本塁打王のタイトルを獲得しました。21年までは登板後の疲労もあり、DHで出場できない試合もあったのですが、大谷ルールができてからは降板後も、打者として継続して試合に出られるので打席数も増え、本塁打のタイトル獲得につながりました」(米国人ライター)
大谷がドジャースと結んだ「後払い」は、日本でも大きく報じられたが、実は大型契約を結んでいるメジャーリーガーのほとんどが、年俸の一部を後払いに回している。実際に支払われる年俸と後払いに回された分の割合は公表されていないが、前出の米国人ライターによると「後払い分は総額の20%から30%ほど」という。
大谷は97%なので、冒頭の批判にあったように、確かに「やりすぎ」という声が出るのも仕方あるまい。残り3%の2000万ドルが契約期間の10年間で均等払いされるとすれば、実年俸は200万ドル(約2億6000万円)。関係者たちから新たな規定を設けるべきだとの声が上がったのは、02年からメジャーに導入された「ぜいたく税」に影響してくるからである。
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