“別班”以外にも自衛隊に「秘密部隊」があった! 衝撃レポ…「妻帯者、家族持ちはゼロ」「ロシアの無線を傍受する“謎の部隊”が」

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たたき上げ将校による少数精鋭部隊

「別班」は50人前後の規模といわれるが、このチームはさらに小規模で、全員が尉官、1、2、3尉といった、20代後半の若手から30代の中堅幹部ばかり。それも第一線の部隊で下士官として経験を重ねてから選抜試験をへて昇進した、陸自内で「I」とも「部内」とも称される、たたき上げの将校たちだ。戦いを、彼らは頭ではなく、五感を研ぎ澄まし、体に覚え込ませる。使い減りしそうのない屈強な肉体を持ったメンバーがそろったチームなのだろう。防大一般大出身者はいない。

 そして見た目の特徴として、みんな陸自の隊員にしては髪が長めだという。思い思いの私服で雑踏に紛れこんでも一般人と見分けがつかないようにするためだ。時には新宿や渋谷などの繁華街を舞台に、ターゲットの尾行や拉致、逆に追跡を巧みにかわすといった訓練の他、アメリカ本土で米軍の特殊部隊に交じっての訓練も頻繁に行われているといわれる。

「テロリストを育てているようなもんです」

 彼女から「秘密部隊」の話を聞かされて、しばらく後、陸自に新しい部隊が誕生したことがメディアに報じられた。特殊作戦群。通称、特戦群はテロやゲリラ攻撃対処に特化した自衛隊初の本格的な特殊部隊である。部隊発足の式典はマスコミ関係者シャットアウトの中、行われた。式典後、当時の防衛庁が報道各社に提供した写真には、部隊の旗を防衛庁長官から授与される特戦群トップの群長、1佐は背中しか写っていない。もちろん顔出ししている隊員は一人もいない。秘密のヴェールに完璧なまでに覆われた部隊なのである。

 後年、この特戦群の立ち上げにかかわったという陸自の1佐に会ったことがあるが、彼は特戦群について、「テロリストを育てているようなもんです」と、こともなげに言ってのけた。「本物のテロリストとの違いは国家への忠誠があるかないか、ここだけです」。そう言って、1佐は両手でハートの形をつくってみせ、それを自分の胸に当てた。

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