“別班”以外にも自衛隊に「秘密部隊」があった! 衝撃レポ…「妻帯者、家族持ちはゼロ」「ロシアの無線を傍受する“謎の部隊”が」

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 昨年テレビドラマで話題になった自衛隊の情報部隊「別班(べっぱん)」。しかし、他にも秘密部隊の存在はうわさされている。自衛隊の密着ルポに取り組み続け、昨年10月に亡くなった大宅賞受賞作家が最後の原稿で明らかにした、知られざる部隊の一端。それはいかなる組織なのか。【杉山隆男/ノンフィクション作家】

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 30年以上も自衛隊を取材していると、時折、真偽のほどは定かではないが、「秘密」のささやきが耳に入ってくる。大ヒットTVドラマ「VIVANT」で話題となった「別班」。法の制御が及ばないところで、極秘の情報収集活動を繰り広げる、自衛隊の諜報員たちの秘密部隊として描かれた。一方、20年ほど前になるが、陸自がイラクに派遣された頃、私が耳にした「秘密部隊」というのは、「別班」とはまったくの別物だった。

「別班」が007の向こうを張ったようなスパイのチームとするなら、私が聞いた秘密部隊は、「兵士」として「一芸」に秀でた隊員ばかりで特別編成されたコンバットチーム。射撃でオリンピック選手の候補に名前がのぼるくらいのスキルを誇るスナイパーから、爆破や敵地潜入のプロと呼ばれるスゴ腕まで、一人一人がある意味キャラが立っている、「兵士」の中の「兵士」ぞろいという。

密命を帯びて海外に派遣されることも

 きっかけは、読者からの電話だった。自衛隊のイラク派遣をめぐって私はある週刊誌に一文を寄せたが、それを読んだ女性が、私に話したいことがあると編集部に連絡してきたのだ。私は女性に会うことにした。週刊誌編集部には、新聞記者時代の私が地方支局でサツ回りをしていた時、社は違ったが世話になった先輩がいる。私はその先輩に同席を頼み、彼女も友人という女性を伴っていた。

 そこで、彼女が付き合っているという自衛官から聞いた話として、「秘密部隊」が語られた。交際相手の彼がメンバーの一員であるだけに、話は詳細を極めた。秘密部隊はもちろん正式な看板を掲げた組織ではない。彼を含めメンバーは、ふだんはそれぞれ正規に所属している部隊で隊務についているが、いったん「非常呼集」がかかると各地からはせ参じて、訓練や特別に課せられた要人警護などの任務に臨む。密命を帯びて海外に派遣されることも少なくないという。

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