中日“ドラ1”草加勝がいきなり長期離脱…アマ時代の“登板過多”が本当の原因か? ドラフト前に「リスク」を調査できない実情も

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「100%大丈夫」という保証はない

 だからといって、プロ入り直後の故障を全てアマチュア時代の登板過多と決めつけるのは“早計”である。前述した堀田は、高校3年夏の青森大会は3回戦で敗れており、椋木は大学2年時に怪我で長期離脱を経験しているほか、1学年上の山野太一(現・ヤクルト)など力のある投手が多く、フル回転で投げ続けていたわけではない。

 長年の疲労の蓄積や、スピードアップによる負担増、慣れないプロの環境での緊張など様々な要因が組み合わさって、故障が引き起こされたと考えるのが妥当だ。

 また、プロ入り直後に故障が発覚すると、ドラフト会議で指名する前に、球団側が“故障リスク”を調査できなかったのかという疑問の声が出るが、現行制度ではそれは難しい。ある球団のスカウトは、以下のように説明する。

「昔ほどではありませんが、プロに行きたいというような選手であれば、多少の無理を重ねていることがほとんどです。調査書で故障歴をチェックしますが、プロ球団が検査するわけではないですからね。そのため、我々はどこか異常がないか、何度も足を運んで、状態をチェックするし、周辺の関係者からも聞き取りしますが、『100%大丈夫』という保証は、もちろんありません。だから、指名が終わった後は、何とか無事に働いてくれるように、いろいろとサポートしているスカウトが多いです」

 ドラフト指名後には、もちろん球団側がメディカルチェックを行っている。その時点で草加に異常があれば、合同自主トレがスタートする段階で。別メニューの調整を行っていたはずだ。

 不幸にも離脱を余儀なくされた草加だが、プロ野球人生は始まったばかり。じっくり右肘の傷を癒して、本拠地・バンテリンドームのマウンドで躍動する姿を見せてほしい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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