中日“ドラ1”草加勝がいきなり長期離脱…アマ時代の“登板過多”が本当の原因か? ドラフト前に「リスク」を調査できない実情も

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大学球界屈指の右腕

 プロ野球のキャンプインまで約2週間となった1月16日、ショックなニュースが飛び込んできた。中日のドラフト1位ルーキー、草加勝が前日の合同自主トレ中に上半身の違和感を訴え、検査の結果「右肘内側側副靱帯損傷」と診断を受けたと発表されたのだ。【西尾典文/野球ライター】

 草加は、創志学園時代、西純矢(現・阪神)の控え投手だったものの、亜細亜大進学後に大きく成長した。4年春には全国で最もレベルの高いと言われる東都大学野球の一部リーグで最優秀投手とベストナインに輝き、大学日本代表にも選ばれるなど大学球界屈指の右腕として期待されていた。

 現時点(1月19日時点)の報道では、復帰まで1年以上を要するトミー・ジョン手術は回避し、保存療法を選択したと言われている。とはいえ、早期復帰が見込めるわけではない。ヤクルトの奥川恭伸は2022年4月に右肘を痛めて保存療法を選んだものの、実戦復帰までに1年以上を要し、いまだに一軍復帰を果たすことができていない。それを考えると、今シーズンの戦力として、草加を計算することは難しく、2年連続の最下位から巻き返しを図る中日にとっても大きな痛手である。

 過去にも、入団間もない投手が故障するケースがあった。巨人の堀田賢慎は、2019年のドラフト1位で入団するも、翌年1月の合同自主トレ中に右肘の不調を訴え、4月にトミー・ジョン手術を受けている。また、2021年にオリックスから1位指名を受けた椋木蓮は、1年目の9月に右肘を痛め、同じくトミー・ジョン手術を受けている。

登板回数は突出していないが

 このように、ルーキーの故障が発覚すると、決まってアマチュア時代の登板過多が指摘される。しかし、昨年のドラフト1位でプロ入りした大学生投手のリーグ戦登板回数を調べてみると、以下の一覧表のように、草加が突出して投げ過ぎているわけではない。

中日・草加勝(亜細亜大):166回2/3
阪神・下村海翔(青山学院大):148回1/3 ※
広島・常広羽也斗(青山学院大):120回2/3
巨人・西舘勇陽(中央大):226回
ヤクルト・西舘昂汰(専修大):126回2/3
楽天・古謝樹(桐蔭横浜大):165回
西武・武内夏暉(国学院大):199回2/3
日本ハム・細野晴希(東洋大):231回1/3 ※

※東都1部、2部を合計した登板回数
※古謝は神奈川大学リーグ、その他の投手は東都大学リーグ

 しかしながら、草加は、他の投手に比べると、最終学年での登板回数が多い。春のリーグ戦は71回、秋は63回1/3で合計134回1/3を投げている。これは、前出の8投手のなかで最も多い数字だ。

 以前、筆者が、野球の動作解析のスペシャリストである、筑波大野球部の川村卓監督に話を聞いた時には、「ピッチャーは速いボールを投げられるようになって、結果が出始めた時に故障してしまうケースが多い」と指摘していた。

 その理由としては、速いボールを投げられるようになり、肘や肩への負担が増えること。さらに、結果が出ていると、投げることが楽しくて、思わず無理してしまうことはあるという。草加は、3年生の春のリーグ戦までは1試合しか登板していない。結果が出始めた時期は、前出の他の選手に比べて遅い。こうした点も、川村監督の話とマッチする部分はありそうだ。

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