なぜ日本人は「あの時は仕方がなかった」が好きなのか? 過去の反省よりも正当化に走る「鮫島伝次郎」話法とは

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大騒ぎするほどでもなかった

 そして、「当時は仕方がなかった」という「鮫島伝次郎話法」が炸裂するのだ。鮫島伝次郎話法はすべての責任を回避する実に優れた話法である。社会の空気感として認められた「コロナは恐怖のウイルス」「マスクを含めた感染対策は素晴らしい」「感染対策をしない者は非国民」「素晴らしい救い神たるワクチンを打たない者は公衆衛生の敵。フリーライダーだ!」的な論説がまかり通っていた時代は確かにあった。

 今、当時の彼らの発言を「お前ら間違えていたよな」と指摘すると「あの時は仕方なかった」が来たうえで、「当時の知見では予見できていない。お前は後出しジャンケンだ!」が来る。いや、当時の知見でも分かっていた。新型コロナウイルス騒動はここまで大騒ぎするほどのものではなかったのだ。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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