「一時は絵をやめようと考えたことも」 ドイツに渡り2年…元TBSアナ・伊東楓が語った「野望と迷い」

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「元日の地震には本当に驚かされました。家族で避難所に行くなんて初めての経験。亡くなった方々にお悔やみ申し上げるとともに、復興に向けて何でもお手伝いしたいと考えています」

 欧州を舞台にアーティストとして活動する元TBSアナの伊東楓(30)も、帰省した富山県で先の能登半島地震に見舞われた。その伊東は今月16日から東京・銀座の「TOKYU PLAZA GINZA」で、3年ぶりの個展〈サントリー ROKU〈六〉/HOTEL 東急ステイpresents 伊東楓個展「人はいつまで夢を見ていられるのだろう」〉を開催する(28日まで)。

「ドイツに移り住んで2年が過ぎました。今回の個展では、これまでに書き上げた、F6(410ミリ×318ミリ)の大きさからハガキ大ほどの作品まで、およそ30点を展示する予定。もちろん、販売もしますよ」

「日本人っぽさが抜けた」

 作品では日本を飛び出した後で実感した、さまざまな意識の変化を感じ取ってほしいと訴える。

「最近は現地の友人たちから“日本人っぽさが抜けた”と言われます。日本とは異なり、相手の意向や様子を気にし過ぎることがなく、例えばレストランで“何が食べたい?”と聞かれて“おススメを……”なんて言ったら大変。“私はこれを注文する。カエデは自分が食べたいと思うものを頼むべきだ”なんて言われちゃう。最初は面倒に感じていましたが、いまでは“私はコレ!”と、すっかりなじんでいます。水が合っているのかもしれませんね」

 言葉はもちろん、街並みや街で耳にする音楽、料理など、すべてが真新しい異国での生活。それらは彼女にどのような変化をもたらしたのか。

「ギリシャをはじめ、欧州各国への旅も経験しました。海外に住み始めたことでさまざまな文化に接する機会が増えましたね。自分でも、少しずつ感覚が移り変わる過程を実感していますから、その感覚が作品に投影されているかもしれません」

 といって、自身の中に新たな“核”を見いだしたわけではないと肩をすくめる。

「何が自分の求める正解なのかが分からなくなって、一時は絵をやめようと考えたこともありました。でも、しばらくしたら“グズグズと悩んでいる自分を見せたっていいんだ”と意識が変わって。私には大いなる野望がありますが、同じくらいの迷いもある。そういう“いまの私”を素直に表現することへの抵抗がなくなりました。こういう点でも成長したのかな」

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