良くも悪くもビジネスライクな関係…綾部祐二が渡米しても「ピース」が良いコンビでいられるワケ
活字の人としゃべりの人
2023年10月15日、渡米していたピースの綾部祐二が6年ぶりに帰国して、トークライブで相方の又吉直樹と対面を果たした。「ピーストークライブ~本とアメリカ~」と題されたそのトークライブを、有料配信動画で実際に見てみた。
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コンビのトークライブではあるが、9割ぐらいは綾部が一方的に話していて、ほとんどワンマンショーという感じだった。おそらく多くの人が綾部のアメリカ滞在中の生活のことに興味があるのだろうし、ある程度の偏りが出るのは仕方がない。
でも、気心のしれた又吉が相手だからこそ、お互いに気兼ねしない和やかな空気が作られているという部分があり、改めて2人は良いコンビだなと思わされた。
彼らのトークを見ていると、又吉は活字の人であり、綾部はしゃべりの人であるというのがよくわかる。又吉はしゃべるときにも文章のように話をする。一つ一つの言葉の意味やつながりを考えながら、言葉をゆっくり置いていくようにしゃべる。
一方、綾部にとってしゃべりとはコミュニケーションであり、キャッチボールである。軽快なしゃべりで他人の懐にするっと入り込んで、話し言葉で相手の心をつかんでいく。
正反対で両極端な2人が作るコント
又吉は太宰治を愛読する孤独な文学青年である。古い日本家屋を好み、休日には古本屋を渡り歩く。長髪に仏頂面の不気味な風貌で、極度の人見知りでもある。他人と接することが大の苦手で「アメトーーク!」(テレビ朝日系)の「気にしすぎ芸人」という企画でも活躍した。常に弱気で傷付きやすい、その自意識過剰ぶりで話題を呼んだ。
さわやかなルックスの綾部は、哀川翔のような味わい深い声質を武器にする芸人。世渡り上手で気の回し方を心得ているので、大勢の先輩芸人からも好かれている。彼は、気持ちより体が先に動く行動派。徹底して開放的で、他人と自分の間に壁を作らずに生きるタイプである。
そんな、水と油のように対照的な個性の2人は、主にコントを持ちネタとしていた。コントの中でも、それぞれが互いのキャラクターを生かしたネタをすることが多かった。2人の人物が表面上はいがみ合いながらも、心の奥底ではつながっている、という設定のコントを演じることもあった。綾部の持つ奔放で憎めない性格と、又吉の持つ繊細で高度な文学性が、コントという形で見事に生かされていた。
本当に正反対で両極端の2人である。でも、2人とも芸人であり、人前に出る仕事をしている以上、一筋縄ではいかない部分があり、そこが最も大事な部分であるとも言える。又吉には又吉の大胆さがあり、綾部には綾部の繊細さがある。だからこそピースは面白い。
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