今では考えられない…大乱闘がきっかけで「牛乳のCM」に出演した“長嶋巨人の暴れん坊助っ人” 「カルシウム不足、していませんか?」が話題に
球界最高の制裁金「4000万円」
だが、カッとなりやすい性格は、最後まで変わらなかった。
1998年7月31日の阪神戦では、審判にボールを投げつけるという前代未聞の暴挙を起こしている。
同年のガルベスは、4月16日の中日戦で李鐘範のヘルメット直撃の死球を与え、危険球退場。同21日の広島戦でも、野村謙二郎への死球をめぐって乱闘を誘発するなど、開幕直後から大荒れだった。
そして、7月31日の阪神戦では、5回までに5点を失ったあと、6回にも先頭の坪井智哉に右越えソロを浴びる。2ストライクと追い込みながら、2球続けて際どいコースを橘高淳球審にボールと判定され、冷静さを失った直後の被弾だった。
池谷公二郎投手コーチが交代を告げるためにマウンドに向かうと、ガルベスは怒りをあらわにして橘高球審に激しく詰め寄った。同僚のダンカンが止めに入ると、「うるさい!」とばかりに鎧袖一触、弾き飛ばした。
長嶋監督が必死になだめ、肩で背中を押すようにしてベンチに連れ戻そうとしたが、直後、ガルベスは約30メートル離れた場所にいた橘高球審めがけて、力任せにボールを投げつけた。幸い頭上約2メートルの高さにそれたが、頭を直撃していたら、大惨事になりかねないところだった。
この事件により、ガルベスは球界最高の制裁金4000万円と無期限の出場停止処分を受けたが、シーズン終了後に処分が解けると、巨人と再契約を結び、翌99年4月2日の阪神戦で開幕投手を務めた。球団史上初の外国人開幕投手は、1失点完投勝利を挙げている。
また、同年のガルベスは、5月21日の阪神戦の2回に先制の満塁本塁打を放つと、8月13日の横浜戦でも、6回に投手ではNPB史上初のシーズン2本目のグランドスラムを記録。横浜スタジアムの場外に消える140メートルの特大アーチに、主砲の松井秀喜も「ガルベスの飛距離には敵わないよ」と脱帽した。
一度切れると手がつけられない暴れん坊ぶりとは裏腹に、ユーモラスなぽっちゃり型の体型とマウンドで舌を出す癖など、愛らしい一面もあり、退団から20年以上たった今でも、懐かしさを覚えるファンが多いはずだ。
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