「子どもは珠洲に帰りたくないと言っていたのに…」 能登半島地震、妻子四人を失った警察官の悔恨
「土砂が滑り落ちてくるのが見えて…」
石川県警珠洲署の警備課長、大間圭介さん(42)は珠洲市内にある妻の実家で元日を過ごしている時に被災。自身は1度目の揺れで安全確認のため屋外に出ており、無事だった。しかし、2度目の揺れで家は裏山の土砂にのまれた。妻のはる香さん(38)、長女の優香さん(11)、長男の泰介くん(9)、次男の湊介(そうすけ)くん(3)の命が一瞬のうちに失われた。珠洲市の火葬場が復旧していないため、四人の遺体は100キロ以上離れた金沢市まで運ばれ、荼毘(だび)に付された。
地震当時、その家には大間さん一家の他、大間さんの妻の兄夫婦と子供、妻の両親と祖父母もいた。
「1日は朝ご飯の後、仁江(にえ)の坂を下ったところにある神社にお参りして、帰って来てお昼ご飯を食べた。みんなで人生ゲームのようなボードゲームをしていた時に地震が起こりました」
大間さんはそう語る。
「僕は状況を確認するために外に出たのですが、警察官なので地震対応に行かなければという思いもあった。最初に揺れた時に子供たちが泣いて怖がっていたんですけど、“ごめんお父さん仕事行かなきゃいけないから”ということで非常に葛藤がありました」
そこへ2度目の大きな揺れが襲った。
「家の裏山の崖のようになっているところが崩れ、上の方からバキバキ、ドドドドーという音がして、家の方向に土砂が滑り落ちてくるのが見えた。その土砂崩れで家が崩壊する時、何を思ったかというと、自分の身の危険ではなく、子供たちが死んでしまう、妻も妻の家族もみんな死んでしまう、それだけだったんですよ。どうしようどうしようとパニックになって」
“生きてますか?”
1日に義兄とその子供が救出された。
「自衛隊が救助活動をする中で、4日に男の子の胴体の部分が見えたんです。自衛隊の方に“お父さんちょっと来て下さい、ここにお子さんみたいなのが見えるんですけど”と言われて見たら、胸から腰あたりが挟まった状態でした。“生きてますか?”と聞いたら、その時にはもうだめやったんですけど……」
残る二人の子供と妻、妻の祖父母と義兄の妻も助からなかった。
「私たちは去年のGWも珠洲にいて、子供たちといちご狩りをしている時に地震に遭った。それ以降、子供たちは地震を怖がって、珠洲に帰りたくないと言っていたんですけど、大丈夫だよとなだめて連れて来たのにこういう形になってしまい、子供たちに申し訳ない」
一番下の湊介くんは仮面ライダーが好きだった。土砂の中から発見された時、傍には変身グッズがあった。
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