岡田阪神「アレンパ」のカギを握る4年目「佐藤輝明」 キャンプで「強化せなアカンよ」発言の真意

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自分で勝手に限界を決めるな

 過去3年の佐藤の成績について言うと、最初の2年間はシーズン中盤で息切れし、昨季は尻上がりに成績を上げた。

「左打者でルーキーイヤーから3年連続で20本塁打をマークしたのは、佐藤が初めて」(前出・在阪記者)

 と、評価する声もあるが、岡田監督の言う「強化」は単に成績のことだけではなさそうだ。

「岡田監督が就任した直後の一昨年秋のキャンプで、佐藤は途中リタイアしてしまいました。侍ジャパンの強化試合があり、途中からの参加だったのですが、要は基礎的体力不足なんです」(チーム関係者)

 岡田監督、腹心の平田勝男ヘッドコーチ(64)も大学を経てプロ入りした。即レギュラーとはならなかったが、「大学卒選手」ということで1年目から一人前扱いされ、先輩選手たちと同じ練習量をこなしていた。「体力不足でケガ」などもってのほかで、首脳陣が気を遣って佐藤の練習量を減らしてきた最初の2年間は、岡田監督からすれば考えられないことだった。

 岡田監督が佐藤に“地獄の春季キャンプ”を予告したのは、「底上げで連覇を狙うチームのため」であると同時に、佐藤のことを思ってのことでもあるはずだ。

「今の若い選手は先に説明しないと練習にマジメに取り組みません。それも大事ですが、『自分で勝手に限界を決めるな』のメッセージも込められているようです」(前出・同)

 だが、佐藤の場合はちょっと複雑だという。無心に体を鍛えることも必要だが、打撃面でもう一つ弱点がある。「打てそうなボールが来たら、バットを振る」という“本能的な選手”なのだ。このことは佐藤自身も、米国でのトレーニングを取材した関西ローカル局に、

「今までは感覚でやるってことが多かったですけど…」

 と、語っている。そんな佐藤を、岡田監督が唯一褒めたのは「アレンパ」の造語。佐藤が冗談めいた口調でそう言いだしたのが始まりで、「はじめてくらい佐藤のことすごいと思った」と岡田監督も絶賛。すでに、昨年末からファンの間でも浸透する言葉になった。

 佐藤は昨年末の契約更改(6500万円増の1億5000万円)の席で、連覇なら再び流行語大賞になるのではと報道陣から聞かれ、

「そこまで流行らないと思います。僕はあんまり言う気ないんで」

 と話している。アレンパ達成は、佐藤の覚醒にかかっている。

デイリー新潮編集部

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