「東京で危ないエリアは…」 能登半島地震で「住宅全壊」多数の理由と「次に危ない場所」

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放任火災

 耐震化はなぜ進まなかったのか。

「やはり金銭的な負担がネックでしょう」

 と前出の渡辺氏が言う。

「耐震補強には200万~300万円はかかる。一部屋だけに限るやり方もありますが、それだって最低でも50万円程度。しかも、今回の被災地は過疎化、高齢化が進んでいます。それだけの費用をかけても地震が本当に来るか分からないし、もうそんなに長くは生きないから……といった考えが優先されてしまう」

 輪島市では「朝市」の火災でも大きな被害が出たが、金子氏が述べる。

「輪島に限らず地方では消防力も劣勢で、消防車や防火水槽などの設備が少ない。激震の影響もあり、ほとんど消防が現場に入れず、燃え尽きるのを待つしかない、いわゆる『放任火災』の状況だったと思います」

 地方が抱える現実がすべてマイナスに作用してしまったというわけなのだ。

東京で危ない地域は…

 豪雪地帯で過疎化、高齢化が進む地域は、日本海側を中心に全国に多々ある。今回と同じようなことが再び起こらない保証はない。

「いや、もちろん東京だって安心できませんよ」

 と金子氏が続ける。

「耐震化が進んでいない木造家屋の密集地帯、いわゆる『木密』が荒川区や墨田区など下町を中心に広がっています」

 その面積は8600ヘクタール。23区の面積の14%もある。

「首都直下地震が起きれば、倒壊や火災など今回と同様のことが起こる可能性は高い」

 この地震大国・日本で油断が許される場所などどこにもないというのが結論のようなのである。

週刊新潮 2024年1月18日号掲載

特集「孤絶『震源地』 徹底取材『能登大地震』の“生と死”」より

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