バイデンは「白人至上主義は毒」と発言…米国「リベラル勢力」の問題点 大領領選の泥仕合が続けば内戦危機も

国際

  • ブックマーク

リベラル勢力は「上から目線」

 だが、筆者は「批判するリベラル側にも問題があるのではないか」と考えている。

 リベラリズムを信奉する政治勢力は、移民などの積極的受け入れや特定のアイデンティティに基づく政治活動などを重視するばかりで、生活費の高騰で不満が高まる人々、特に非大卒の白人労働者(トランプ支持者)に関心を示すそぶりを見せていないからだ。

 寛容という価値観を大事にしてきたはずなのに、現在のリベラル勢力は「上から目線」で国民に接し、自らの正義を押しつける。不寛容だと いう印象が強いと言わざるを得ない。

 気がかりなのは、前述のロイター調査で共和党支持者の半数近くが「米国には裁判所や議会に過度に縛られない強い大統領が必要だ」と回答したことだ。

 トランプ支持者がファシスト的な指導者を望む証左だが、リベラル側が彼らへのアプローチを変えない限り、この傾向は強まることはあっても弱まることはないと思う。

 米国では近年、内戦の再来が危惧されるようになっている。負け組たちの「嘆き」を受け止める政治土壌がなくなれば、彼らは暴力的な手段を用いて自らの怒りを表現する以外に方法がなくなる。

 大統領選挙の結果が内戦勃発の引き金とならないことを祈るばかりだ。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。