ビッグモーター“マージン補填”打ち切りで「辞めるも地獄、残るも地獄」の修羅場 トップ営業マンに“外回り禁止令”、「ウーバー配達員にでもなるか」の声

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 買収検討に名乗りを上げた大手総合商社・伊藤忠商事がビッグモーターの“デューデリ(資産査定)”を急ピッチで進めるなか、ビッグモーター社内でも“激震”が走っている。これまで社員の大量離職を防いできた「マージン補填」が昨年いっぱいで打ち切られ、いよいよ社員たちも「現実」に直面する事態に追い込まれているという。

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 不正発覚後の昨年7月末、ビッグモーターは社員に向けて「歩合給(マージン)を今後半年程度、補填する」旨を通知。そのため売上が激減し、各店舗で閑古鳥の鳴く状態が続いたにもかかわらず、社員の給与は以前とそれほど変わらない水準が維持されてきた。

 しかし「今年1月から“マージン補填はなくなる”と聞いている」と話すのは、ビッグモーター関係者だ。

「ビッグモーターの社員の給与は基本給とマージンで成り立っていますが、マージンの占める割合が大きく、基本給だけでは生活できない社員も少なくない。そのためマージン補填が終了することを見越して昨年12月、駆け込みで100名単位での大量の退職者が出たと聞いています」

 ただし「ビッグモーター社員」という肩書を伴っての転職は難しく、辞める社員には「独立」か、人材不足に悩む異業種に飛び込むかの二択しかないのが現実という。実際、次のようなケースが社内で話題になっているそうだ。

「高齢者を使って金儲け」

 昨秋、ビッグモーターをそろって辞めた複数の営業マンが合同会社を立ち上げ、中古車販売業に乗り出したケースや、あるいは趣味のプログラミング技術を頼みに「畑違いのIT業界」に転身した20代半ばの元社員もいるという。

「他にも最近、『成績優秀者』として表彰経験のある元営業マンが警備関係の会社を立ち上げた例もあります。辞める前に同僚が『なんで警備会社なんだ?』と訊ねると、『警備は高齢者を安く使って稼げるから』と答えたそうです。成功するかどうかは別にして、そういった“目端の利く”“利に聡い”人間が出世するような会社だったことは否定できません」(同)

 一方、大半の社員はいまも会社に残るが、その「日常」は激変——。元従業員の一人が言う。

「いまでは成績がトップクラスの営業マンでも“外回り”をさせてもらえず、『店舗に張り付く』よう命じられているといいます。そもそも外回りをしても、いまや新規の顧客などつかまえられないので、数少ない来店客への対応をトップセールスマンに任せることで、確実に“取りこぼし”を防ぐ方針に切り替わっているそうです。不思議に思うかもしれませんが、いまでも『オイル交換が安い』や『逆に今なら誠実に対応するはず』といった理由で、店にやって来るお客様はいらっしゃいます」

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