野菜のあく抜きは不要? 納豆は加熱すると酵素の効果が消える? 食べ方で変わる栄養効果を専門家が解説

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納豆ご飯を食べるときの注意点

 酵素の話でいうと、日本人のソウルフードともいうべき納豆に含まれるナットウキナーゼも酵素ですから、50~70℃でその効果は消失してしまいます。ですから、電子レンジで白いご飯を急速に温めた場合は、すぐにではなく、少し冷ましてからご飯の上に乗せて食べたほうがいいでしょう。

 加熱の点から考えれば、納豆みそ汁や納豆チャーハン、納豆パスタも、納豆を混ぜてから火を通すとやはりナットウキナーゼの効果は消失してしまいます。もちろん、アミノ酸スコア100である大豆の良質なタンパク質は加熱しても消えるわけではありません。しかし、せっかくなら納豆の栄養を存分に摂取したい、少しも無駄にしたくないという方は、加熱を避ける。それが、ひいては健康につながるわけですから。

 肉、魚、野菜……。自宅にいて料理をする機会が増える冬休みの期間こそ、「食材選び」だけでなく「料理・調理法選び」にも気を配ってみてください。健康は食からであり、そして食べ方からでもあるのです。

濱 裕宣(はまひろのぶ)
東京慈恵会医科大学附属病院栄養部部長。管理栄養士。『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』『その調理、9割の栄養捨ててます!』等の書籍監修に携わる。食材が持つ本来の魅力を大切にすることを目指す一般社団法人「栄養まるごと推進委員会」の理事長も務める。

週刊新潮 2024年1月4・11日号掲載

特別読物「『何』ではなく『いかに』食べるか 『食べ方』で『栄養効果』はこんなに変わる!」より

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