「無期懲役判決の工藤會ナンバー2がナンバー3と養子縁組へ」報道をどう読むか

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家族との関係は良好か

 社会との接点の継続を求めたとしても、「息子」として後藤理事長を選んだ、あるいは後藤理事長が選ばれたということは、それだけ工藤會のニューリーダーと認めている、認められていることの裏返しなのだろう。

「ナンバー2とナンバー3という田上会長と後藤理事長との現在の関係性を踏まえれば、このまま服役した場合、刑務所で面会を認められる可能性は極めて低い。それをクリアするには養子縁組しかないという判断ではないでしょうか」(同)

 ちなみに田上会長には家族がいる。福岡県警で長年、工藤會対策を担った薮正孝氏の著書『福岡県警工藤會対策課~現場指揮官が語る工藤會との死闘』によれば、田上会長は自身の家族を大切にし、ナンバー2の会長となった後も、ボディガードを付けず、自ら運転するクルマに家族を乗せてショッピングに出掛けていたという。

「養子として認められれば法定相続人となるわけなので、家族が反対すれば手続きを進められないでしょう。しかし、手続きを進めているのならば、そういう懸念はないか、あったとしてもすでにクリアできているか、あるいは家族からも養子となることを望まれている可能性があります」(同)

収監先は遠く離れた場所も

 ヤクザの親分が配下の者を養子とすることは何ら珍しいことではない。自身も過去に5人の養子と縁組をした経験を持つ竹垣悟氏(NPO法人主宰、元山口組系暴力団組長)によると、

「関係者から聞いたところによれば、今回は後藤理事長から田上会長に希望して申し出たようです。テレビ西日本は“組織への指揮目的の可能性”と伝えていましたが、工藤會に対して捜査当局が依然として警戒を弱めていないことの表れだと感じました。後藤理事長が養子となるのは、信書の発受や面会などを前提にしていると思われます。ただ、収監先が自宅や事務所から遠く離れた場所になる可能性も十分あり、それはそれで後藤理事長にとっても悩ましいことかもしれないですね」

 明確な指揮目的ができないとしても、ナンバー2の生き方に直に触れるだけで、工藤會の将来を担うナンバー3にとっては大きな意味を持ち、それだけに捜査当局が警戒するということなのだろう。

 控訴審判決は3月12日に言い渡される。

デイリー新潮編集部

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