「無期懲役判決の工藤會ナンバー2がナンバー3と養子縁組へ」報道をどう読むか
組織に指示が出せるように
テレビ西日本は昨年末、【独自】〈工藤會ナンバー2田上被告がナンバー3と養子縁組へ〉という記事を配信した。記事は、1審で無期懲役の判決が下っている工藤會の田上文雄会長が収監された後も組織を指揮するために、後藤靖理事長と養子縁組を目指しているとの見方を示していたが、実態はどうなのだろうか?
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現在、工藤会のナンバー2である田上会長は殺人などの罪で問われた1審で無期懲役の判決を受けた立場である。2審ではこれまでの無罪主張を覆し、一部の事件について指示を認めている。これについては同じ事件で死刑判決を受けているナンバー1の野村悟総裁をかばう狙いがあるのでは、との見方もある。
テレビ西日本の「独自」情報のポイントは以下の通りだ。
・ナンバー3・後藤靖理事長が昨年11月、福岡県北九州市の戸畑区役所に田上会長と養子縁組を結ぶ申請を出していたことがわかった。
・後藤理事長は次期会長の有力候補。親族になると刑務所で受刑者と面会ができるようになり、警察は田上会長の収監後も刑務所から組織に指示が出せるようにすることを狙った可能性もあると見ている。
無期懲役確定の可能性が高い
年齢を考えれば、後藤理事長が息子になることを目指しているのだろう。
社会部デスクによると、
「ヤクザに限らず収監されたり、収監されそうな人物が養子縁組などをしたりして、それが報じられるのはままあることですが、“申請を出した”段階で独自ニュースとして発信されたことはあまり記憶にないですね」
その意味で特異な記事だったと言えるだろう。
「田上会長は2審でも無期懲役の判決が濃厚で、そのまま確定する可能性が高い。67歳という年齢を考えると生きて社会の空気を吸うことは極めて難しいでしょう。本人もそのことは十分認識しているはずです。記事にあるように収監後も刑務所から指示を出すために養子縁組をしたということはあまり考えにくく、むしろ社会との接点を継続したいという意味で、後藤理事長との養子縁組を選択したのではないでしょうか。というのも、面会や手紙などのやり取り1つとっても刑務所側は相当に慎重になるため、なかなか明確な指示を出しにくいとみられるからです」(同)
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