50歳「不倫男性」の告白 妻を紹介したら、実母はいきなり「あの人は私と同じ匂いがする」と漏らした…その直感は怖いくらい当たっていた

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“8年不倫”の麻美子さんと結婚

 母が資格をもった仕事をしていたので、経済的につらい思いをしたことはない。大学にも行かせてもらえた。それについては感謝しているというが、強い母のせいで女性に頼るようになったのかもしれないとも分析する。大学を卒業して就職した会社で知り合ったのが同期の麻美子さん。友人関係が続いていたが、34歳のときに結婚した。

「交際0日の結婚でした。麻美子とは部署が違いましたが、彼女、8年ほど上司と不倫の関係を続けていたんだそうです。全然知らなかった。あるとき同期会で彼女がひどい酔い方をしたんです。帰る方角が同じだったから僕がタクシーで送り届けようとしたんですが、途中で気持ちが悪いと言い出して車を降りた。外の風に当たりながら歩いていたら、彼女がいきなりしゃがみ込んで号泣しはじめて。どうしたらいいかわからず、近くのホテルに入りました」

 そこで初めて不倫をしていること、上司の妻にバレかけて別れを告げられたことを聞かされた。麻美子さんが身をよじって泣くのを見て、彼は「オレと結婚しよう」と口走った。もちろん麻美子さんのことが好きだったのだが、いきなり結婚という言葉が自分の口から出てきたのは彼にも驚きだったらしい。

「瓢箪から駒とでもいうんでしょうか。彼女はそのまま僕の自宅にやってきて居着いてしまいました。『彼のことをただ待っていたあの部屋には帰りたくない』と。1ヶ月もたたないうちに婚姻届を出して結婚していました。何かに突き動かされるような感じでした」

 届を出す直前、母に彼女を紹介した。母はあとから電話で「あの人は私と同じ匂いがする」と言った。彼女が不倫をしていたことを見抜いていたわけではないはずだが、その言葉を聞いて「母の女としての感性は怖い」と思ったと彼は言う。

「結婚って案外、めんどうなんだ」

 周囲にも驚かれた結婚だったが、生活は意外とすんなり始まった。彼は学生時代からひとり暮らしをしていたから家事も苦ではなかったし、麻美子さんも仕事と家事を普通にこなしていた。

「生活はすんなり始まったけど、お互いの気持ちのすりあわせはけっこう大変でした。僕は自然に子どもができればいいなと思っていました。でも彼女はほしくないと。半年ほど生活しているうちに、彼女は『うちの実家に越さない?』と言いだした。彼女はふたり姉妹の長女だから家のことも親のことも気になるって。気持ちはわかるけど、じゃあ、うちのおふくろはどうなるんだ、ひとり暮らしだぞという話になって……。結婚するのはふたりの意志だけど、結婚生活を続けていくにはそれぞれの家庭環境などにも配慮するのが必要だとつくづく感じました。結婚って案外、めんどうなんだと思いましたね」

 親のことは、どちらとも同居するのはやめようという結論になった。大人なのだから、それぞれの実家のことは極力、それぞれで解決していったほうがいい。どうにもならないときは助け合おうと話はまとまった。

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