「2023年は3億円の儲けや」 87歳で18億円を稼いだ現役トレーダーに聞くモチベーションと健康法

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バブルで資産が5分の1に

 貧しい農家に生まれた藤本さんは地元の高校を出るとペットショップに就職。カナリアの餌を買いに来た地場証券の役員の応対をしたことが、株を始めるきっかけだった。また、近所にサラリーマンが増えてきたことを知り、雀荘を始めたところ大当たり。3軒の店を売って専業投資家になった。1986年のことである。

「でも大損もしたよ。バブル崩壊では資産を5分の1に減らしてしもうたし、阪神・淡路大震災の被害で、しばらく相場から離れたこともあった。本格的に再開するようになったんはインターネット証券が登場してからやね」

 以来、平日は朝からモニターの前に座り続け、トレード漬け。だから、足腰には気を付けている。

「一日が始まるんは朝の2時。コーヒーをいれて日経CNBCをつける。米国の市況を確認するんやが、4時に日経新聞が届けられる。朝飯は6時でパンだけ。それから40~50分の散歩に出かけるんや。ここいらは六甲山がある坂の街なので、運動にはちょうどええ。相場のない土日は2時間ぐらい歩いているな。8時に板(市場の注文状況)を確認すると、昼飯を挟んで午後3時までモニターの前や。相場が終わると一日の反省をやる。儲かっても儲からんでもこれは必ず。そして4時には寝る。晩飯は食べん」

「目標は180億円」

 そう話す藤本さんの手元には売買した銘柄や価格、米国の市況を手書きでビッシリと記した分厚いノートが置いてある。

 病気知らずの健康体というわけではない。16年には脳梗塞で入院し、しばらくして心筋梗塞にもなっている。

「それでも頭がハッキリしとるんは、いつも相場のこと考えているからやと思います。そんなに儲けてどうすると思われるかもしれません。けど、株が面白いだけ。僕はカードも持ってないし、スマホもない。儲けた金で何か欲しいわけやないんですよ」

 目標を聞くと、

「今の18億円を180億円に増やすことやね」

 その暁には、またトレードルームを訪ねてみたい。

週刊新潮 2024年1月4・11日号掲載

ワイド特集「『昇り龍』か『堕ちし龍』か」より

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