1000円札が500万円に…鑑定のプロが明かす「エラー紙幣」高額落札のカギは“福耳”“J-L券”“平成以降に発行”

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エラー紙幣の奥深い世界

 5円玉や50円玉の穴がずれている“エラーコイン”。「開運!なんでも鑑定団」でもお馴染みの存在であり、知っている人も多いのではないだろうか。コインの鑑定士として「鑑定団」に出演する竹内俊夫氏が会長を務める「銀座コイン」のオークションでは、穴ずれの50円玉が20~30万円で落札されることは珍しくなく、もし穴そのものが空いていない場合は50万円以上の価格になることもある。

 そうしたエラーコインと比べると若干マイナーな存在だが、我々が普段使っている1万円札などの紙幣にもエラーが見つかることがある。こうした“エラー紙幣”にも熱心なコレクターは多く、やはりオークションで高額落札が相次いでいるという。竹内俊夫氏の息子で、銀座コインのスタッフの竹内三浩氏がこう説明する。

「エラー紙幣にも様々なバリエーションがあります。例えば、印刷がずれていたり、インクが抜けて全体が薄くなっていたり、印刷されていない箇所があるなどの“印刷ミス”は定番人気ですね。また、裁断ミスで切れ端が残ってしまっているエラー紙幣は通称“福耳”と呼ばれ、切れ端の面積が大きいほど珍重される傾向があります」

新しいものほど希少価値が高い

 一般的に、コインや紙幣は「年代が古いものほど価値が高い」と思われがちだ。ところが、エラーコイン・エラー紙幣に限っては、「年代が新しいものほど価値が高い」ことが多く、プレミアムも付きやすいのだという。いったいなぜなのか。竹内氏がこう解説する。

「時代が下るほど造幣局や印刷局の検査が厳しくなり、製造技術も向上しているため、エラーが出にくくなり、落札価格も跳ね上がるのです。特に平成に入ってからのエラー紙幣は滅多に見つかることがなく、コレクターが探し求めています。一方、戦後間もない時期に発行された紙幣には、比較的エラーが多く発見されています。もちろんプレミアムはつくのですが、印刷ミスや福耳でも数万円ほどで、よほど珍しいエラーでなければ高額にはなりません」

 竹内氏のコメントにあるように、戦後間もない時期に発行された聖徳太子の100円札や、国会議事堂が描かれた10円札などは、エラーが比較的よく見つかる紙幣である。これらの紙幣は民間企業にも製造が委託されていたうえ、物資が困窮した混乱期であったため印刷の品質もまちまちであったことが、エラー紙幣が多く見つかる要因になっている。

1000円札が500万円に! 衝撃の高額落札

 戦後の混乱が落ち着きはじめると、印刷局の印刷技術や検査体制が向上し、エラー紙幣の出現率は急激に少なくなる。昭和30年代以降に発行された紙幣では、エラーが見つかること自体が稀という。したがって、厳重な検査を潜り抜けて世に出たエラー紙幣には、驚きの高額落札が連発しているのだ。竹内氏が言う。

「過去に出品されたエラー紙幣の中に、上下の番号が異なっている聖徳太子の1000円札がありました。これは非常に珍しいもので、500万円で落札されています。先に紹介した聖徳太子の100円札なら数万円くらいの福耳も、高度成長期に発行された板垣退助の100円札なら20万円以上で落札されることも珍しくありません」

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