米軍がフーシ派を攻撃すれば日本にも大きな打撃 原油輸入「中東依存率95%」を今こそ解消する“救世主”とは

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紅海で商船への攻撃を続けるフーシ派

 パレスチナのイスラム組織ハマスのイスラエルへの奇襲攻撃で始まった「ガザ戦争」は開始から3カ月が経過した。

 イスラエル軍の激しい攻撃により、パレスチナ・ガザ地区の犠牲者は1月9日時点で2万3000人を超え、半世紀前に起きた第4次中東戦争の犠牲者数を上回った。

 イスラエルとハマスの間で停戦合意が成立する目途は立っておらず、戦況は悪化するばかり。「ガザ戦争は事実上の『第5次中東戦争』だ」との指摘も出ている(1月5日付Wedge ONLINE)。

 中東情勢が極度に緊迫しているものの、幸いなことに中東産原油の供給に支障が生じる事態は起きていない。だが、油断は禁物だ。中東歴訪中のブリンケン米国務長官は7日、
「(中東地域の)和平に向けた協調的な努力がなければ、地域全体に(危機が)転移する恐れがある」と警鐘を鳴らした。

 筆者が最も懸念しているのは、イエメンの親イラン武装組織フーシ派の動きだ。フーシ派は昨年12月以降、連日のように紅海で商船に対して攻撃を続けており、海運企業の船舶の多くが紅海での運航を見合わせる事態となっている。

石油施設を破壊した「前科」

 一方、米軍は紅海の安全を守る多国籍部隊を発足し、「繁栄の守護者 作戦」を開始しているが、商船を護衛する艦船が不足しており、フーシ派の妨害行動を阻止できていない。これまでのところ防御的な行動に終始しており、部内からは「フーシ派の拠点を直接攻撃すべき」との意見が強まっている。

 筆者は「米軍がフーシ派を攻撃すれば、原油供給に大きな支障が生ずるのではないか」と危惧している。フーシ派が報復として、米国の同盟国であるサウジアラビアなど湾岸産油国の石油施設を攻撃する可能性が高いと考えているからだ。

 フーシ派は2019年9月、無人機(ドローン)攻撃により、サウジアラビアの原油生産能力の半分(日量570万バレル)を担う石油施設を破壊した「前科」がある。

 世界の原油市場のスイングプロデューサー(需給の変化に応じて生産を増減させ、価格の安定を図るための調整役)で一朝事があれば、原油価格が高騰するばかりか、世界の原油市場は深刻な供給不足に陥る事態も想定される。

 そのような事態になれば、残念ながら、日本が最も大きな打撃を受けてしまうだろう。

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