「初動が遅すぎ」「逐次投入」と自衛隊の災害派遣に批判殺到 自衛隊関係者が「逐次投入がベスト」と言う根拠
「後手後手」、「逐次投入」──能登半島地震に災害派遣されている自衛隊や岸田政権に対し、批判が殺到している。例えば秋田県の佐竹敬久知事は1月9日、自衛隊の派遣規模について「少し後手後手だ」と指摘した。
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【写真10枚】今回、Xで批判が殺到した「訓練始め」の実際の写真をみる 専門家が「批判は的外れ」と話す理由も
時事通信の記事によると佐竹知事は、自衛隊の投入は「最初から1万人」が必要だったと発言。「われわれ東日本大震災を経験した者として、非常に歯がゆい状況だ」と強く問題視した(註1)。
発言の背景として、被災地の深刻な状況があるのは言うまでもない。朝日新聞DIGITALが1月8日に配信した「『初動を甘く見た』首相批判も 能登地震1週間、被害の全容つかめず」の記事では、《いまだに被害の全容が見えない》と指摘。翌9日には多くのメディアが石川県内の死者が200人を超えたことを報じた。
能登半島地震では、地震の大きさを示すマグニチュードは最大で7・6を記録した。気象庁によると、関東大震災(1923年)のマグニチュードは7・9、阪神・淡路大震災(1995年)は7・3、そして東日本大震災(2011年)は9・0。能登半島で数千年に一度の頻度で発生する巨大な地震だと専門家は指摘している。担当記者が言う。
「国もマスコミも、今後の方針を見定める上で、2016年に発生した熊本地震を参考にしているようです。マグニチュードが7・3と近似しており、熊本地震では死者276人、負傷者2809人の被害が出ました。SNSなどネット上では『熊本地震を超えるような死者が出てほしくない』と祈るような内容の投稿が相当な数に上ります」
立憲・泉代表の批判
もっと早く、もっと多くの自衛隊員を被災地に派遣すべきではなかったのか──Xでも激しい議論が起きている。熊本地震との比較も論争に影響を与えているようだ。
「東京新聞は1月6日、自衛隊の災害出動に関する記事を配信しました。そこに掲載されていた表がXで大きな注目を集めています(註3)。熊本地震と能登半島地震で、災害派遣された自衛隊員の人数を比較したものです。これによると、熊本地震は2日目で2000人に対し、能登地震では1000人。5日目に熊本は2万4000人に達したのに対し、能登は5000人に留まっています」(同・記者)
佐竹知事も、「最初1000人、2000人、今では6000人」と苦言を呈している。ただし、Xで論争が巻き起こったのは、立憲民主党の泉健太代表の発言がきっかけだったようだ。1月5日に国会内で記者団の質問に答え、「自衛隊が逐次投入になっており、遅い」と岸田政権を批判したのだ。
翌6日、この批判に木原稔防衛相が「自衛隊の災害派遣について一部、逐次投入であるとか、初動が遅いといった指摘がある。私から少し詳しく説明をしたい」と記者団に呼びかけたことも注目を集めた。
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