「私の声帯はふにゃふにゃと…」 八代亜紀さんが語っていたハスキー・ヴォイスの秘密とリズムへのこだわり
10代のころのアキちゃんに会える
「歌っていると、頭のなかに10代のころのアキちゃんが浮かんだり、父の顔が浮かんだり、みなさんが浮かんだり。いろいろ見えるの。いい時代も思い出すし、苦労したことも。キャンペーンとかね」
八代亜紀としてシンガーになって2年間はなかなか売れなかった。
「来る日も来る日も地方回りをしていたアキちゃんに会えるんだ」
八代さんのなかによみがえるアキちゃんはどんな姿なのか。
「心のなかのアキちゃんはね、地方の小さな駅のホームに立っているの。傍らにはボストンバッグが置かれている。そして、ひたむきなの。一所懸命なの。いつもアキちゃんは一所懸命」
いつも八代さんはアキちゃんを褒めてあげる。
「素晴らしいね。素敵だよ」
そう語りかける。
「いつも私はアキちゃんを思って、歌っています」
あの「舟唄」をもう一度聴きたかった。