冤罪被害者は「440万円」、エイズ受刑者は「100万円」 当局のミスを訴えた「生命の値段」を巡る裁判の見方

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勾留中に胃がんで亡くなった

 自民党派閥の裏金問題に斬り込んだことで、検察には強い追い風が吹いているが、一方で、警察や検察など権力側が暴走する恐ろしさも常にあることも忘れてはならないだろう。直近の事例では「大川原化工機」(横浜市)を巡る冤罪事件がその代表だ。でっち上げに近い冤罪のため、被害者は国や都を訴えて勝訴している。また、この件ほど知られていないが、受刑者が刑務所での酷い扱いを訴えた件でも、国が敗訴するというケースが出ている。冤罪ではなく、病気とわかっていながら治療などを受けさせてもらえなかったという訴えで、こちらも国の過失が裁判で認められている。いわば「生命の値段」を巡る訴訟といえる2つの訴訟を見てみよう。

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 まずは大川原化工機について。同社の大川原正明社長(74)など幹部3人は2020年、軍事転用可能な機械を中国などに不正に輸出した疑いで逮捕・起訴された。が、この起訴は取り消される。あまりにも無理な逮捕、起訴であったことが今では明らかになっている。

事件は捏造された

 この違法捜査で損害を受けたとして、同社と大川原社長、島田順司元役員(70)、勾留中に胃がんで亡くなった相嶋静夫元顧問(享年72)の遺族らは、国と東京都に計約5億6000万円の賠償を求めたのだった。

 昨年12月27日に東京地裁であった判決は、捜査を担当した警視庁公安部や東京地検に対して違法性を認め、国と都に合わせて約1億6000万円の支払いを命じた。

 ターゲットとなった大川原化工機の機械は、カップラーメンの粉末機器を製造するくらいの水準のものだ。そもそも輸出規制の対象ではないのだが、「機械の内部を熱風で殺菌できるから規制に引っかかる」との筋書きが作られていた。

「機械が輸出規制の対象ではない旨の説明を会社から受けていたにもかかわらず、それを無視して逮捕した捜査は違法だと、判決は指摘しました。加えて、島田元役員をだまして供述調書に署名させたことについても指摘しています。他方、検察の起訴についても判断は違法だとしました。事件は捏造されたと断じられたと言ってよいでしょう」

 と、担当記者。

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