「俺、社長なんだけど…」 スマホを落としただけで「自分が自分である」証明ができなくなる問題(古市憲寿)

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 ある大企業の社長に起こった話。いつも移動用に使っている運転手付きの車があるのだが、目的地に到着し、降車する際に、スマートフォンを車内に置き忘れてきてしまった。気が付いた時にはすでに車は離れていた。運転手を呼び戻そうにも連絡先はスマートフォンの中。会社関係で覚えている電話番号はない。

 近くにいた人に検索してもらい、何とか会社の代表番号は知ることができた。電話も借りて、いざその番号にかける。だが大変だったのはそこからだった。何せ公開されている番号なので、社長という肩書きや自分の名前を言っても信じてもらえないのだ。...

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