JAL機炎上事故で物議を呼ぶ「ペット問題」、賛成派も反対派も触れない「判断の最優先事項」とは

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5人の命よりも

 結果はどうあれ、私は交通費が安くなるならば、ペットの同伴搭乗が実現することには賛成だ。ただし、「ペット同伴搭乗論争」が発生したのは、JAL機側で人間が誰も亡くならなかったからである。人間が一人でも亡くなっていたら、ペットの命二匹が失われたことを問題視する空気感になどならなかったはずだ。そこで「ペットを助けるべきだった」や「同伴できていたら」と言ったら炎上したはず。助かった乗客からすれば「アンタ達、自分の命がかかっていてもペットの話で盛り上がれるのかよ?」とイラっとするだろう。

 また、旅客機の話ではないが、海保の乗組員5名が亡くなったわけだ。遺族からすれば「5人の命よりも2匹のペットのことで真剣に議論するって何なの?」と感情も抱く。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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