JAL機炎上事故で物議を呼ぶ「ペット問題」、賛成派も反対派も触れない「判断の最優先事項」とは
マーケティングの実験にも
こうした人々にとっては交通と宿泊でペット同伴が可能なサービス提供者がいれば本当に嬉しいことだろう。そのためならば、旅費が1.5倍になっても厭わないかもしれない。私自身はペットはクワガタしかいないため、このような苦労はしない。数日間出張する場合は春~初秋はエサを多めに入れておけばいいだけで、冬は越冬中なのでエサを足す必要はない。
こうしたことから、判断基準を「個人の感情・嗜好」でなく「ビジネス上利益があるか否か」だけにするのである。もちろん、ペットがいることで悪臭が沁みつき、クリーニング費用が必要だといったコストも考える必要がある。
そうしたことから実験的な取り組みをする。一週間の内、1便を「ペット同伴乗客専用搭乗機」、1便を「ペット同伴搭乗機、ただしペットを連れていない乗客は3000円OFF」、1便を「ペット同伴客専用搭乗機、一般客の割引ナシ」とした場合、航空会社と乗客にとってマーケティングの実験になるかもしれない。
私自身、犬や猫と一緒に乗る飼い主が多額を支払うことにより自分が3000円OFFになるのであれば、「福岡・羽田は所詮1時間30分ほどだから3000円安くなるのはラッキー♪ 犬も猫も好きだしアレルギーもないから」と思う。この割引価格がペット同伴乗客のカネにより賄われていると考えるのはむしろありがたい。ただし、今でもあるように「(泣く可能性がある)小さなお子様はここに座っています」といった予約時の案内は必要であろう。
ペットの同伴搭乗を求める会
だから、賛成・反対の極論で決めるのではなく、ある程度の実験をしたうえで、「ペット同伴搭乗」のスキームは作っていけばいいのではないだろうか。
しかし、こうしたスキームが誕生するとなると、今度はペット愛好家の要求がエスカレートし、これはこれで問題である。「私のニシキヘビのアキラちゃんはおとなしいです! そして怖がる人がいると言うかもしれませんが、それはヘビに対する差別です! なんで犬と猫はいいのにヘビはダメなんですか!」などと言ってくるかもしれない。
正直、「多様性」を重視する社会は行き過ぎると妙なことになる。最たるものが「男性器を持ったトランスジェンダーの方が女風呂に入ってくるのは是か非か? 非と捉える人は差別主義者か?」といった議論である。
私自身は基本的には「この世のサービスは人間が作った世界」「世界は犬ネコ好きで回ってるわけではない」とも思う。この風潮を変えたいのであれば、「ペットの同伴搭乗を求める会」という政治団体を作ればいい。全国の犬と猫の飼い主を合わせれば1500万人ほどだろうし、「ペット同伴搭乗推進議連」を作れば、相当な戦力になるだろう。
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