JAL機炎上事故で物議を呼ぶ「ペット問題」、賛成派も反対派も触れない「判断の最優先事項」とは
一人一席
飛行機の場合はこうだ。今回の舞台となったJALである。料金はペットクレート(ペットを運ぶ際に使うカゴや檻等の容器)1個1区間あたり4400~6600円、フェリー同様乗せられる種類の動物は限られているし、吠える犬や体調が悪い犬は断る場合もある。さらに、客室と同じ温度を保つようにはしているものの、熱反射や外気温によっては温度が高温や低温になる可能性もあるなどと注意書きをしている。ペットとクレートの合計重量が32kg以上の場合は貨物扱いとなり、運賃は人間の1.5倍だ。
新幹線の場合は、縦・横・高さの合計が120cmのケースに入れ、かつ10kg以下でなくてはならず、猛禽類は禁止。手荷物扱いで290円を支払い、さらにペット用に指定席を購入するのは不可能だ。
以前、新幹線指定席でペットを席に乗せている人がいて、自由席を求めて車内を動く私はこの光景を見て複雑な気持ちになった、といった新聞投稿があった。コレは違反行為である。飼い主は「ペット用の席を買えばいいと思っていた」と言うだろうが、「一人一席」の決まりがある。いくら体が大きい人でも一席しか買えないということだ。
このように、公共交通機関は様々なペットとの同伴ないしは移動手段を用意しているが、顧客から要望があったことに応えたうえで、できないことは明確に示した免責事項も準備しているということである。
企業が商売に徹する姿勢を見せれば
というわけで、航空会社は「儲かる」と考えたらペットを受け入れる商品・ペット同伴搭乗便を作ればいいし、ペットがイヤな人はその便を避けるようにすればいい。それこそ、国内線のファーストクラスの座席すべてを通常価格の2倍でその人の家族+一匹の大型犬で押さえる」といった商品があっても購入する金持ちがいるかもしれない。そして、この富豪が事故の際ペットを外に出すよう要求しても「人間優先、ペットは最後」の姿勢を企業は崩さないでいい。
要は、企業が商売に徹する姿勢を見せればこのような決着を見ない論争は終わるのである。航空会社が上記のようなプランを出したとしよう。航空会社はこの便が半年後に運行することをアナウンスする。そして、ペット同伴可能なファーストクラスエリアが1ヶ月後に注文がなかった場合は、通常の便に戻す。
「ペットと旅」というのは飼い主にとっては非常に重要なもの。私も佐賀県唐津市という都会から見れば僻地に住んでいるが、ペットを飼っている人々が地元のペットホテルにそこそこ高い金額を払って人間だけでやってくる。あまりに吠えまくるうるさい小型犬を飼う私の姉一家は、名古屋から一家4人で運転を交代しながら長時間をかけてやってきた。さらには「ペット宿泊可能ホテル」を選んで旅の満足度が高まった。
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