【リニア問題】川勝平太・静岡県知事(75)の異様な定例会見に地元記者が呆れ返る理由
まさかの建設反対論
「『一体、解決策とは何を指すのか?』『ルート変更のことでは?』といった憶測が乱れ飛びました。重要な発言ですから、知事のチェック機能を担う県議会が動きました。12月12日に開かれた議会で、発言の真意について説明が求められました。ところが川勝知事は、『JR東海との対話を速やかに進めるために、丹羽俊介社長に強いリーダーシップを持って取り組んでほしい』という趣旨の発言だったと回答したのです。そんな言い分が通るはずもなく、県議は『具体的な妙案があったのか?』と再質問しました。ところが、川勝知事は逃げの姿勢に終始したのです」(同・記者)
なぜか川勝知事は「静岡県は一貫してリニアに賛成している」と主張している。開業を目指して沿線の都府県で作る「建設促進期成同盟会」にも2022年に加盟した。
「ところが、川勝知事はエネルギー価格や建設資材の高騰などに触れ、2011年に国土交通省がJR東海にリニア建設を認可した時とは状況が大きく異なっていると指摘。『いったん留まって改めて考え直す必要がある』ため、JR東海の丹羽社長と話し合いたいとも発言しました。解決案について説明しないどころか、建設反対を明確にしたとも受け取れます。あまりに矛盾の多い答弁なので、県議は知事に対して『軽々しくいろいろなことを期待させるようなことを言う』と苦言を呈しました」(同・記者)
議長も知事に“厳重注意”
ところが、ご本人は馬耳東風。最後は「自分はJR東海の意思決定者ではない」と言い、「従って私がそれを言うのは失礼であるというか、資格がないと思っています」と開き直ってしまった。これには議場から失笑が漏れたという。
静岡県議会には「再質問は2回まで」というルールがあり、不完全燃焼のまま論戦は終了してしまった。だが、その後、議会運営委員会が知事の答弁を問題視し、知事の再答弁を決定。議長も知事に「分かりやすい答弁を求めているにもかかわらず、明確な答弁をされない。これは議会軽視だ」と厳しく注意する事態に発展した。
「川勝知事は再答弁で、山梨・神奈川間の“部分開業案”が解決策だと説明します。これには県議だけでなく、地元記者も強い違和感を覚えました。確かに部分開業案が知事の持論だった時期はありました。ただ、車両基地や指令設備等の多くの設備もセットで完成させる必要があるなど実現のハードルは極めて高く、JR東海は部分開業を明確に否定しています」(同・記者)
部分開業ではJR東海の掲げる「大動脈輸送の二重系化」という、中央新幹線のそもそもの目的が果たせない。
「加えて2022年11月、知事はリニア実験線に試乗し、記者団に対し『部分開業は困難だ』との認識を示しました。それが一転して県議会で再び部分開業を持ち出したのです。直前に『私がそれを言うのは失礼であるというか資格がない』と発言しましたが、知事は過去に何度も部分開業を主張しています。『失礼であり資格がない』という発言とは整合性がないと言わざるを得ません。地元記者が『これは問題だ』と考えたのは当然でしょう」(同・記者)
[2/3ページ]