「あなた方の誰かが話を漏らしたに決まってます」 秋篠宮家が皇宮警察に不信感を抱く理由
護衛中に“撒かれた”例も
「彬子さまも眞子さまも、側衛と信頼関係ができた上でのエピソードという印象です。ですが、高円宮家の長女・承子さまは高校時代、六本木周辺で側衛を置いてきぼりにしたそうです。担当が『承子さまに撒かれた』と言っていました。こちらは信頼されてなかったのでしょう」
と、皇警元幹部は苦笑する。
1992年、ご結婚前の天皇陛下は後ろの窓が黒い目隠しフィルムで覆われた車の後部座席に布をかぶって潜み、千葉県市川市の宮内庁新浜鴨場で皇后陛下と密会をされた。有名な鴨場デートだ。この時は皇警だけでなく警視庁や千葉県警にも内緒の隠密行動だった。側衛との関係は構築できていたのかもしれないが、お妃選びの取材が加熱していたことから、警察組織のどこからか情報が漏洩する可能性が疑われたと言われている。
故三笠宮さまも警視庁の警察官に「付きまとうな」と一喝したことがあると伝えられており、「警察は皇族方からどうしても疎まれる運命にあるのです」(前出の警察OB)。
皇警本部は警察法で設置が規定されている警察庁の附属機関だが、47都道府県警に対し「48番目の警察本部」とも称される。各自治体の警察官は地方公務員の一般司法警察職員。しかし皇警は警察官とは呼ばれず皇宮護衛官で、業務が限定された国家公務員の特別司法警察職員だ。
定員は47位の鳥取県警を少し下回る1000人程で、制服の見た目は一般警察官とほぼ同じ。大臣ら要人の護衛は警護と言われる一方、皇室の護衛だけは“警衛”と呼ぶ。皇警は天皇陛下と上皇陛下、皇族方のご訪問先で都道府県警とタッグを組む。次年度予算案で皇警の予算は2年連続の減からプラスに転じたが、理由はローンオフェンダー(単独テロ犯)が2022年に安倍晋三元首相を殺害した事件を教訓に警察庁が警衛と警護の強化方針を打ち出したからだ。
警衛と警護は護衛対象が異なるだけのため、「警衛警護」とワンセットにされる。例えば京都府警には警衛警護課という課がある。元首相殺害事件後、警察庁も警衛と警護に専従する課を警備局内に新設した。同局は皇宮護衛官の人材育成にも着目。これに伴い国土交通省関東地方整備局は老朽化した皇宮警察学校校舎と生徒寮兼体育館を新築し、皇居内で移転させる予定だ。工事は24年度中にも発注される。
皇警関係者は「反天連(反天皇制運動連絡会)などの左翼は弱体化したが、代わりにローンオフェンダーという新たな脅威が現れた以上、警衛強化は急務」としている。
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