お見合いしたその日に「私、妊娠しているから」 クラリネット事件で夫を激怒させた“令嬢妻”の本性

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週末はコンビニバイトへ…

 親との関係を深く理解してこなかったことを、康太朗さんは妻に謝った。親からの援助はもうやめよう、僕らは質素に暮らしていこう、きみの意識が変われば暮らしていけると妻を説得した。

 彼は注意深く、息子の様子を見ながら生活した。妻は子どものころ親から暴力をふるわれていたことを告白して気持ちが楽になったと話した。息子とは相性が悪いようで、愛情表現はうまくできないとときどき嘆いたが、そこは康太朗さんがフォローするよう心がけた。だが生活はなかなかうまくいかなかった。妻がすぐにお金がないと悲鳴を上げるからだ。

「しかたないから、週末も僕は仕事をするようになりました。会社は副業を認めていたので、まずは近所のコンビニで働き始めたんです。すると妻は『コンビニなんてみっともない。近所の人の目がある』って。ふざけるなと思ったので無視しました」

 考えてみたら、穏やかに暮らしていた時期なんて、ほとんどないような気がすると康太朗さんはつぶやいた。それもこれも、お金が原因だ。金がない人生はつらいと彼はため息をついた。それでも妻が彼のクラリネットを売ろうとしたときは激怒した。結婚してからほとんど吹いていなかったが、クラリネットは彼には大事なものなのだ。

 働きづめの日々が続くようになり、彼は徐々に心が疲れていった。妻は少し改心したのか、価格の安いスーパーへ行ったりし始めた。子どもたちが大きくなってママ友などもでき、今まで知らなかった世界が開けていったようだ。いわゆる「庶民の暮らし」もまんざら悪くないと思ったのかもしれない。

後編【妻は「あなたの給料は低すぎる」…48歳夫が週末にコンビニで働き始めたらガン発覚、看護師と不倫して気づいたこと】へつづく

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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