「大物議員が責任の押し付け合い」 自民党裏金問題、特捜部が照準を合わせた2議員の名前とは

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二つの大きな変化

 その後、派閥上層部には二つの大きな変化があった。一つは7月に安倍元総理が凶弾に斃(たお)れたこと。もう一つは、8月に事務総長が高木前国対委員長に代わったことである。

「西村さんがまだ事務総長を務めていた時期に、“キックバック分は個々の議員側のパーティー収入として計上させよう”という案も検討されたようです。しかし、8月に事務総長に就任した高木さんの元で方針が転換された。結局、9月にかけて従来通りの方法でキックバックが行われたとみられています」(全国紙社会部デスク)

 本誌23年12月28日号でご紹介した通り、裏金を“議員側のパーティー収入として計上”するのは、西村事務所で行われてきた手法だ。結局、派閥全体としてその方法が取られることにならなかったのは、西村前経産相が事務総長の座を退いたせいだろうか。

 いずれにせよ、22年5月の派閥パーティーが特捜部の捜査の焦点になっていることは間違いない。

「この年の7月に参院選が行われていることも、諸々の判断に影響しているのかもしれません」(永田町関係者)

 参院安倍派には独自の「秘密ルール」が存在したことは先に触れたが、

「22年5月のパーティーでも改選を控えた参院議員の事務所についてはノルマが免除され、売った分全てが議員の裏金になっています。安倍さんがキックバック撤廃を指示したにもかかわらず従来通りの裏金作りが許されたのは、選挙に金がかかった参院議員に配慮してのことだった可能性があります」(同)

責任の押し付け合い

 そうした「重要決定」を下したのは西村前経産相だったのか、それとも高木前国対委員長なのか。

「西村さんと高木さんは互いに責任を押し付け合っているようですね」

 と、明かすのは先の清和会関係者である。

「二人とも、“俺は悪くない、あいつが悪い”という情報を知り合いの記者を使って流そうとしているようですが、余裕があるのは西村さんのほうらしい。自分は安倍さんからキックバックをやめるよう言われて検討した立場。従来通りキックバックしたのは高木さんだから、ということなのでしょう」(同)

 若狭弁護士(前出)は、

「安倍会長がキックバック中止を命じていたのに、高木事務総長の時代にキックバックが実行された。これは、派閥の会計責任者に対して高木事務総長がキックバックの実行を指示した状況証拠となり得ます。つまり、高木さんの共謀を立証できる可能性があります」

 として、こう続ける。

「ただ、西村さんも“引き続き不記載にする”と会計責任者に指示していた場合、共謀を問えるかもしれません。しかし、形式犯に過ぎない政治資金収支報告書の不記載で議員を二人も立件するとは考えづらい。最終的には、より主導的に指示した議員のみを立件することはあり得ると思います」

 それが高木前国対委員長だった場合、特捜部は別の“大物”の関与を視野に入れなければならなくなる。

「安倍さんが撤廃を命じたキックバックを従来通りに行うという、重大な判断を高木さんが一人でできたはずがありません。相談相手として考えられるのは、安倍派座長の塩谷立元文科相(73)か、森喜朗元総理(86)。高木さんが大臣や国対委員長になれたのは、森さんのおかげなので、森さんに相談して決めた可能性は大いにあると思います」(前出・清和会関係者)

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