「大物議員が責任の押し付け合い」 自民党裏金問題、特捜部が照準を合わせた2議員の名前とは
独自の「秘密ルール」
当の事務局長は民間企業出身である。彼を安倍派に引っ張ってきたのは、世耕弘成前参院幹事長(61)だという。その世耕氏が牛耳る参院安倍派のパー券裏金化に独自の「秘密ルール」があることをいち早く指摘したのは本誌(「週刊新潮」)である。改選を迎えた参院議員はパー券の販売ノルマが免除され、販売分を全て裏金化することが許されていたのだ。
「この特殊なルールを世耕さんが取り仕切っていた、となった場合、検察が世耕さんの刑事責任を問う可能性もあります」
と、若狭弁護士は言う。
「派閥の会計責任者との共謀を立証して幹部議員の刑事責任を問うのが難しいのは間違いありません。しかし、事務総長経験者の一人くらいは責任を問わないと話にならない。会計責任者の立件だけで終わり、となったら特捜部の負けだと思います」(同)
二人の人物に照準
無論、特捜部とてただ手をこまねいているわけではない。議員や秘書の聴取、証言の照会、ブツ読み……。膨大な証拠が積みあがっていく中で、特捜部は二人の人物に照準を合わせた。西村前経産相と、高木前国対委員長――。二人の過去の動向が捜査の焦点となっている背景に、派閥トップだった安倍元総理の「鶴の一声」があったというのは、何たる皮肉だろうか。
「安倍さんがキックバックをやめろ、と指示したのは事実だと思います。安倍事務所に昔からいる女性秘書が問題点に気付き、安倍さんに進言した、と聞いています」(安倍派議員の秘書)
21年11月に派閥会長に就任した安倍元総理は22年4月ごろにキックバック中止を提案したとされる。派閥パーティーが行われたのは、その約1カ月後。当時の事務総長は西村前経産相だ。西村事務所の関係者によると、
「あの時はパー券を売り始めてからキックバックをやめることになったので、他の議員の秘書から“なんでキックバックをやめるんだよ”とウチの事務所にクレームが寄せられた」
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