山川穂高が抜けた西武を救え!獅子の「ランディ・ジョンソン」が覚醒するか…パ・リーグ、2024年“ブレイク候補”を大予想
9回2死まで“ノーヒットノーラン”の快投
オリックスが3連覇を果たした2023年のパ・リーグ。2位に躍進したロッテや、巨大戦力を持ちながら優勝を逃したソフトバンクなど他球団が、「打倒オリックス」という目標を掲げて、戦力強化を進めている。24年に大きな飛躍を遂げる可能性を秘めた“ブレイク候補”はいるのだろうか。23年10月のドラフト会議で指名されたルーキー以外で、新人王の資格を有している選手を対象に、各球団で一人ずつの有望株を選んでみた。前回のセ・リーグに続き、今回はパ・リーグ編である。【西尾典文/野球ライター】
【写真を見る】いずれ劣らぬ若き才能、パ・リーグの2024年“注目株”
まず、優勝したオリックスから。エースの山本由伸が大リーグのドジャースに、11勝を挙げた山崎福也がフリー・エージェント(FA)で日本ハムにそれぞれ移籍したことを考えると、新人王を獲得した山下舜平大に続く、若手投手の台頭が待たれる。
23年シーズンの終盤に一軍デビューを果たした、盛岡中央出身の斎藤響介(22年3位)に対する評価が高いが、東北福祉大出身の右腕、椋木蓮(21年1位)も忘れてはならない。ルーキーイヤーの9月に右肘を痛めてトミー・ジョン手術を受け、23年10月に実戦に復帰している(23年12月26日現在は育成契約)。1年目の成績を改めて見てみると、4試合で2勝1敗、防御率1.02、奪三振率10.70と、一軍で圧倒的な数字を残している。ファンの方々には、22年7月20日の西武戦で、9回2死まで“ノーヒットノーラン”の快投を見せたことは、記録に新しいだろう。
スリークォーター気味の腕の振りで、低いリリースポイントから浮き上がるような150キロを超えるストレートは威力十分だ。それに加えて、スライダーやカットボール、フォークと速い変化球で空振りを奪うことができる。経過が順調であれば、早期の支配下復帰が見込めるはずだ。手術明けで、もちろん無理は禁物だが、1年目のような快投を再び披露してほしい。
ロッテ「菊地吏玖」は開幕から一軍の戦力となる可能性も
続いて、2位のロッテ。最もブレイクを期待したい選手は、専修大出身の右腕、菊地吏玖(22年1位)である。ルーキーイヤーの23年は、8月11日の西武戦でプロ初登板、初先発を果すも、4回を投げて4失点(自責点1)で負け投手となった。一軍の登板はこれだけ。二軍でも、14試合で4勝5敗、防御率4.22と目立った成績を残していない。
しかし、シーズン後、台湾で行われた「アジアウインターリーグ」では、9試合、10回を投げて無失点と、才能の片鱗を見せた。好調時のストレートは、打者を押し込める勢いがあり、制球力も高い。2年目の起用法は、今のところ不透明。リリーフで経験を積み、その後に先発に回るほうが面白いのではないだろうか。ロッテのブルペン陣は、ベテランへの依存度が高く、菊地が開幕から一軍の戦力となる余地は十分にある。
3位のソフトバンク。V奪還を目指して、西武からFAで移籍した山川穂高を中心に、戦力補強に努めているとはいえ、懸案である世代交代を進めたい。期待の若手は、内野手の井上朋也(20年1位)だ。
プロ3年目の23年は、二軍でいずれもチームトップとなる73安打、9本塁打を記録。シーズン終盤には一軍昇格を果たし、プロ初ホームランも放っている。ライバルのリチャードに比べるとパワーは劣るも、無駄な動きが少なく、バッティングの確実性は上回っている。まずは、得意の左投手を相手にしっかり結果を残して、1年を通じての一軍定着を目指したい。
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