永野芽郁 映画界の巨匠のお気に入り、愛車はハーレー、感情を爆発させる演技が…人気の秘密を探る

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「顔立ちの整った子役」からの成長

 デビューは9歳の時。東京・吉祥寺でスカウトされた後、映画「ハード・リベンジ、ミリー ブラッディバトル」(2009年)に出た。しかし、子役ということもあり、あまり目立たなかった。

 NHK大河ドラマ「八重の桜」(2013年)にも出演した。会津藩家老・山川浩(玉山鉄二・43)の妹・山川常盤の少女期役だった。だが、この時も「顔立ちの整った子役」といった認識を与えるにとどまった。

 才気を見せつけ始めたのはフジ「僕たちがやりました」(2017年)のころから。いたずらによって他校生10人を死なせてしまう高校生たちの物語で、永野はリーダー格の少年と交際するヒロインの女子高生を演じた。

 ドラマに登場する女子高生の多くは極端に優等生か、大げさに不良か、あるいは全く目立たない。しかし、永野が演じた女子高生はやけに生々しく、現実味があった。クラブに行き、朝帰りをして、不良少年を手玉に取るのだが、学校では普通の子。なにより、どの瞬間の表情もわけもなく活力に満ち、世間の女子高生のエネルギーを思わせた。

 その約1年後、NHK連続テレビ小説「半分、青い。」(2018年上期)でヒロインの楡野鈴愛を演じた。北川悦吏子氏(62)の脚本には批判が強かったものの、不思議と永野には矛先が向かなかった。

月9は永野の憧れだった

 現在は2023年7月から配信が始まったNetflixの主演ドラマ「御手洗家、炎上する」(全8回)がヒットしている。永野は完全に“稼げる女優”になっている。常にいくつもの作品の出演依頼を受けているに違いない。

 その中から月9を選んだのはなぜか。ドラマ制作関係者は、この放送枠での主演に憧れていたからだと言う。今の月9は苦戦しているが、永野が子役のころはキラキラと輝いていたからだろう。

 永野の月9初主演作「君が心をくれたから」は、長崎を舞台にしたファンタジー・ラブストーリー。永野が演じる逢原雨が、高校時代から思いを寄せている2年先輩の花火師・朝野太陽(山田裕貴・33)と再会するところから物語は始まる。

 その矢先、太陽は事故に遭い、重傷を負ってしまう。すると雨のもとに「あの世からの案内人」と名乗る男(斎藤工・42)が現れる。そして「心を差し出すことと引き換えに奇跡を起こす」と告げる。奇跡とは太陽の生還か。そのために雨が心を渡すと、どうなってしまうのか。

 山田も演技力は折り紙付き。この作品が月9を浮上させる逸作になるかどうかは脚本にかかっていそう。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。放送批評懇談会出版編集委員。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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