高卒の“ボキャブラ芸人”が54歳で「司法書士」に合格! 「合格率5%」最難関突破を支えた2人の“偉人”の言葉

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“自分も何かやれる”と動き出してもらえれば

 今回でいうと、合格者の最低年齢は19歳、最高年齢は82歳、昭和16年生まれの方だった。過去には元暴力団組員で合格した人もいる。

 それにしても、合格したから良かったものの、相手は受験者の5%しか受からない非常に難しい資格だ。6年半もどうやってモチベーションを維持して勉強を続けられたのか?

「マイクロソフト創業者のビル・ゲイツが、なぜ成功した?という問いに『成功するまでやるから』と答えたという話を聞いたことがあって、この考え方がすごく好きなんですよ。もうひとつ、“欽ちゃん”こと萩本欽一さんが若手に『芸能人はみんな色んな理由で売れてるけど、ひとつだけ共通点がある。何かわかる?』と聞いた話も好きです。答えは『やめなかったこと』。つまり“成功の秘訣は、成功するまでやめないこと”ということですよね。違う国、違う業界で、違う形で成功を収めた2人が、同じこと言っているのが凄く心に響いて、しんどい時は2人の言葉を思い出して支えにしていました」

 ケンキは自分の経験を踏まえて、そろそろ定年などで第二の人生を迎える同世代、そして若い人たちにこんなエールを送る。

「僕なんか高校の時はあまり勉強してなかったし、卒業してすぐ芸人の世界に飛び込んだから、大学受験もしていません。ずっと学問的な勉強はしてなかったけど、45歳の時に宅建の勉強を始めてから、勉強の楽しさを知り、司法書士の資格まで取れるようになりました。僕と同世代の定年退職が視野に入ってくるサラリーマンの方々も、これからどう生きるか迷っている若い人たちも、仕事や子育ての忙しさのために何かを諦めることなく、こんな僕の姿を見て“自分も何かやれる”と動き出してもらえれば嬉しいです」

 弁護士の資格を取った後に芸人になった人はいるが、笑いの世界に30年以上いて最難関国家資格を取得した芸人は、おそらくケンキが史上初めてだ。

 人生、どうなるかは自分の努力次第。頑張って新しい線路を引けば、違う未来へと進める。先行き不安な中高年にも、現状を変えたい若い人にも、ケンキの成功は希望を与えてくれる。

華川富士也(かがわ・ふじや)
ライター、構成作家、フォトグラファー。記録屋。1970年生まれ。長く勤めた新聞社を退社し1年間子育てに専念。現在はフリーで活動。アイドル、洋楽、邦楽、建築、旅、町ネタ、昭和ネタなどを得意とする。過去にはシリーズ累計200万部以上売れた大ヒット書籍に立ち上げから関わりライターも務めた。

デイリー新潮編集部

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