高卒の“ボキャブラ芸人”が54歳で「司法書士」に合格! 「合格率5%」最難関突破を支えた2人の“偉人”の言葉

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記述問題は1問に1時間

 当初は仕事が減っていたことが良い方に転がった。空いた時間をたっぷり勉強に回したのだ。しかし2020年に山梨に移住し、帯番組が始まってからは、時間の捻出に苦労した。

「こっちに来てから2人目の子供が生まれたこともあり、番組のMC、レポーター、子育ての合間の時間をとにかく勉強にあてました。この3年半はしんどかったです」

 試験はまだ“チンプンカンプン”な状態の時から受けていた。これもひとつのノウハウだ。

「1回目は始めて半年後、まだ通信で勉強していた時です、2回目は学校に通い出した頃で、勉強は全然終わっていませんでした。“お試し受験”といって、始めたばかりの人もみんな受験しています。雰囲気に慣れたり、本物の試験での時間配分を知るためです。僕はこの2回がお試しで、次からが本気の試験でした」

 ケンキによれば、試験は内容が濃く、毎年終わった後にクタクタになったという。

「難しい上に範囲が広いんです。午前中に憲法、民法、刑法、商法(会社法)の4科目の5択問題が35問。時間は2時間です。午後は民事訴訟法、司法書士法、供託法、不動産登記法、商業登記法など7科目の5択問題35問と記述が2問。時間は3時間です。記述は例文として事実関係が示され、それを元に登記の目的、登記記録の欄に記録される情報と申請人、添付情報や登録免許税額を順番に書け、といったもので1問に1時間ぐらいかかります」

 法務省のホームページに過去の問題がPDF化されて掲出されている。素人には問題を読み解こうとするだけで疲れてしまうような内容だ。

人生を変えられる資格

 ところでケンキはなぜ司法書士の資格を取ろうと思ったのか?

「資格の勉強を始めたのは45歳、宅建からです。続けて他の資格の勉強もする中で、“法律”についてもっと知りたいと思ったんです。僕らはみんな法律にがんじがらめなんだけど、目に見えないから多くの人は気にしていない。で、知っている人はうまく得することもできる。自分が法律をしっかり学んで資格を取れば、知らなくて損をしている人たちの役に立てるんじゃないか。僕自身、“この人たちがいて助かった”ということがいっぱいあったので、自分も誰かを助ける側の存在になりたいと思っていたんです。それってすごくやり甲斐がある仕事じゃないですか」

 勉強を続ける中で法律に関する理解が深まっていき、司法書士への思いも強まっていった。

「僕は芸人しかやってこなかったから、お笑いのノウハウばかり考えていたけど、法律を知れば知るほど“こんなことで損していたのか”とか“あの時、もっとうまくできたのに”ってことがいっぱいあったんです。司法書士の前の4つの資格は、勉強が面白かったのと、ハクが付きそうだし、いつか役に立つかもぐらいの気持ちで取っていただけなんですが、司法書士は初めて芸人以外でやろうと思えた仕事でした」

 司法書士は年齢や学歴など関係なく誰でも受験でき、“一発で人生を変えられる資格”としても知られている。これもケンキの背中を押した。

「学校に行くと授業の冒頭で先生は必ず言うんです。『勉強は大変だけど、とにかく頑張って。人生を変えられる資格だから』って。勉強は本当に大変で、特に試験直前は脳みそが腫れて目から血が出るほどやってました(笑)」

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