京葉線のダイヤ改正で大騒動 通勤快速の廃止でJR東日本千葉支社と沿線自治体が対立
鉄道のダイヤが大幅に変更されるのは主に3月と9月だ。ダイヤ改正は通勤・通学といった生活環境を大きく左右する出来事だが、あまり沿線住民や利用客が意識することはない。
ところが、このほどJR東日本千葉支社が発表した春に実施を予定している京葉線のダイヤ改正は、多くの関心を集めることになった。
京葉線のダイヤ改正が大きな注目を集めた理由は、報道各社が「通勤快速が廃止」と一斉に報道したことに起因している。これを受けて、千葉県の熊谷俊人知事や千葉市の神谷俊一市長が即座に否定的な反応をした。
京葉線は東京駅―蘇我駅を結ぶ路線で、舞浜駅には東京ディズニーリゾートや、海浜幕張駅には幕張メッセといった全国区の知名度を誇る大規模施設が沿線にはある。
だからと言って、東京と千葉の一地域を通る路線に過ぎない京葉線のダイヤ改正が、そこまで注目を集めることも珍しい。なぜ、京葉線のダイヤ改正が注目を浴びたのか? それを解き明かすためには、まず京葉線の成り立ちを知っておかなければならない。
「レジャー路線」からの変化
京葉線は東京駅―蘇我駅間を結ぶ約43.0キロメートルのほか、市川塩浜駅―西船橋駅間の支線が約5.9キロメートル、同じく西船橋駅―南船橋駅間の支線が約5.4キロメートルという路線で、当初は東京港と千葉沿岸の工場地帯を結ぶ貨物線だった。しかし、高度経済成長期以降に沿線の宅地化が進展し、1986年から旅客運転を開始。
旅客運転が始まると、沿線の宅地化は加速。京葉線は段階的に東京方面へと線路を延ばし、1986年には南船橋駅が、1988年には舞浜駅 と葛西臨海公園駅が開業した。舞浜駅は1983年にオープンした東京ディズニーランドの玄関駅。そして、葛西臨海公園駅も水族園や鳥類園、大観覧車のある週末にたくさんの来園者を集める公園の玄関駅となった。
これら大規模な集客施設のほかにも、ららぽーと船橋ショッピングセンター(現・ららぽーとTOKYO-BAY)が立地する南船橋駅、幕張メッセの最寄駅でもある海浜幕張駅などがある。1980年代末の京葉線は、週末に混雑するレジャー路線という趣だった。
こうしたレジャー路線というイメージは、1990年に東京駅までの延伸開業したことで転換していく。東京駅まで延伸開業した京葉線は、内房線・外房線と直通運転を開始。
直通運転が始まったことで、内房線・外房線でも宅地化が進み、京葉線の直通列車に乗って東京方面へ通勤するビジネスマンが増えていった。
そうした需要を取り込むべく、JR東日本は朝夕のラッシュ時間帯に通勤快速と快速を各1本ずつ運行するダイヤを設定している。
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