巨人を救うのは育成出身の右腕か…セ・リーグ、2024年“ブレイク候補”を大予想!

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巨人、期待の右腕は、イースタン・リーグで勝ち星トップタイ

 4位の巨人は、2年連続Bクラスからの巻き返しを図る。投手陣の“世代交代”は急務といえるだけに、若手投手の成長が欠かせない。そこで、期待したいのは、育成出身の右腕、松井颯(22年育成1位)である。

 23年5月21日の中日戦でいきなり初先発、初勝利をマーク。育成で入団したルーキーとしては、NPB2人目、セ・リーグ初の快挙だった。一軍での勝利はこれだけで終わったが、シーズン終盤には、リリーフで好投を見せた。また、二軍では、8勝2敗、防御率2.04。勝ち星はイースタン・リーグでトップタイの好成績だった。

 コンスタントに150キロを超えるストレートは、数字に見合う威力があり、スライダー、シンカーと2つの決め球もレベルは高い。投手陣の救世主になる可能性は十分にあるだろう。

 リーグ連覇から一転、5位に沈んだヤクルト。主砲・村上宗隆は近い将来のメジャー移籍を希望しており、主軸を担えるような若手野手の成長が欠かせない。“ポスト村上”の筆頭株は、外野手の沢井廉(22年3位)だ。

 ルーキーイヤーとなった23年は、一軍で37打席に立ち、打率.156、11三振と苦しむも、二軍では、イースタンリーグトップの18本塁打を放ち、持ち味のパワーを見せている。

 中京大中京時代とは別人かと思うほど、中京大の4年間で体つきが大きくなり、左方向へも軽々と放り込むことができようになった。23年10月に行われたフェニックスリーグ・ソフトバンク戦で右ひざを負傷するも、12月に入って練習を再開している。24年は、一軍で豪快なアーチを見せてくれることを期待したい。

「名手・菊池涼介を彷彿とさせる」

 球団史上初の2年連続最下位に沈んだ中日は、トレードなどで多くの選手を入れ替え、チームの再建を目指している。過去2年間のドラフトでは、多くの内野手を獲得し、二遊間のレギュラー争いは激しさを増している。その中から推したい選手が、田中幹也(22年6位)だ。

 23年の春季キャンプでは、早くも一軍に抜擢。同年3月に行われた侍ジャパンの強化試合では、守備と走塁と大観衆を沸かせた。他球団の編成担当者は、田中のプレーを見て、かなり驚いたという。

「スピードのある選手ということは聞いていましたが、実際に見てみたら想像以上でした。反応の速さがもはや“動物的”だと思いました。守備範囲の広さは、名手・菊池涼介(広島)を彷彿とさせるものがあります。打撃はともかく、守備と走塁ならば、すぐに一軍の戦力になりますね」

 結局、3月下旬のオープン戦で右肩を脱臼して、1年目の大半をリハビリに費やすこととなったが、わずかな実戦でも残したインパクトは強烈だった。ライバルとなる選手は非常に多いが、スピードと守備範囲という分かりやすい武器がある。24年は、本拠地のバンテリンドームナゴヤを駆け回る姿を見せてほしい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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