ホスト一斉摘発の裏ですすむ“本丸”「トクリュウ」包囲網 元メンバーが語った「アメーバみたいな存在だから警察は“上”に辿り着けない」

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「家族まで追い込む」

 西日本出身のこの男性は「自分に『部隊を集めてくれ』って話が回ってきたのはATMの時ですね」と話した。

 男性が言う「ATMの時」とは2016年、全国17都府県のコンビニ内ATMから約18億6000万円が一斉に引き出された事件である。

「あの規模で一斉にやる時は人数がいるから、実行役は本当に誰でもいい。闇バイトで若い人間を集める場合もあれば、筋の悪いところからの借金がかさんでいる人間を行かせることもある。そいつらは実家の住所まで押さえてあるから『裏切ったら家族まで追い込むぞ』と脅し、絶対に裏切れない仕組みを作っています」

 だが16年のATM事件ではトップの首謀者をはじめ、「引き出し役」「指示役」ら約250人が逮捕されている。

「でも関係者全員、ではないですよね? 全国規模でやる時なんかは、ものすごい大量の人間が関わっていて、僕らだって全貌がわからない。それに僕らはルフィと違って、詐欺や強盗だけをシノギにしているわけじゃない。(携帯や銀行口座の)履歴だって、別人のモノを使って(証拠は)残らないようにしてる。自分が警察の立場に立って考えたら、全貌解明は相当むずかしいと言わざるを得ないですね」

 ネットやSNSを駆使したこの現代型の組織犯罪に、警察はどこまでメスを入れることができるのか。「トクリュウ」との攻防はまだ始まったばかりだ。

鈴木ユーリ(すずき・ゆーり)
ライター

デイリー新潮編集部

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